第535回 既存顧客との関係を大切にしていますか?|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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既存顧客との関係を大切にしていますか?

  • 既存顧客との関係維持
  • 既存顧客深耕の有効性
  • 既存顧客との関係性を深めるには

既存顧客との関係維持

新緑も鮮やかで色とりどりの花が咲く5月。
目にも楽しいこの時期は屋外でくつろぐと癒されるので、近所の公園で時間を過ごすことが増えているこの頃です。

関係性があるお客さまを大切にしていますか

関係性があるお客さまを大切にしていますか

ここから、本題です。先日、久々にお見えになった方から、売上が芳しくないので新規顧客を開拓したいとのご相談を受けました。
確かに新規顧客の獲得は事業を継続していくうえでの重要課題ではありますが、競争の激化や広告費の高騰などにより新規顧客の獲得効率は低下傾向にあります。

一方、現時点で事業を行っているということは、すでに既存顧客が存在するということです。
自社の商品・サービスの存在を改めて知ってもらわずとも、自社の商品・サービスを選択してもらうことが可能となるにも関わらず、すでに接点のある既存顧客と関係維持が案外おろそかになっているケースがあります。

既存顧客深耕の有効性

市場が成熟していき、商品やサービスの差別化がますます難しくなる中、既存顧客は自社の商品やサービスに対して理解や信頼をある程度築いています。そのため、初回の接触にかかるコストが不要で、顧客にとっての価値が伝われば、リピート購入や単価向上を見込める可能性が高い存在です。実際、顧客維持のコストは新規獲得の5分の1ともいわれており、費用対効果の点でも有利といえます。
また、さらにファンとなってもらったロイヤリティが高い顧客は、他者への推奨やSNSでの発信などを通じて新規顧客獲得にも間接的に貢献してくれるという副次的効果もあります。

既存顧客との関係性を深めるには

既存顧客との関係性を深めるには、今一度既存顧客情報を再確認して改善策を講じることが重要です。

1.顧客属性の再確認
関係性を構築している既存顧客の場合は、すでに何らかの顧客に関連する情報を得ていると思われます。
保有している顧客情報に基づき、顧客の属性や購買履歴から、主にどのような人物や事業者が、「いつ」、「何を」、「どの程度」購入しているのかを確認し、現状や傾向を把握しましょう。

2.顧客の課題抽出
1で行った現状や傾向を見ながら、既存顧客が自社の商品・サービスの利用に至っていないのはなぜか、顧客の抱えている課題について抽出してみましょう。
過去のアンケートの確認や可能であればヒアリングなどを実施して、抽出した課題について検証し、どのような改善策を講じるかを検討します。

3.改善策の検討
何が要因で購入に至っていないのかを把握したら、必要な改善策を講じます。
要因は商品・サービスを認知してもらうための施策から商品・サービスの企画そのものに至るまでさまざま考えられますが、顧客が商品・サービスを選択するタイミングで適切な情報発信が十分にできていないということが多々あります。
例えば、顧客の購買履歴や閲覧行動をもとに、ダイレクトメールなどで関心の高い商品をタイミングよく提案することで、顧客満足度と購買意欲を高めることができます。

既存顧客の深耕は、短期的な売上向上だけでなく、関係性が維持できれば中長期的な企業価値の向上にも直結します。今こそ、既存顧客との関係づくりを見直し、できるところからやってみませんか?

経営相談室のスタッフコンサルタントの東が担当いたしました。

▼東 純子(あずま じゅんこ)へのご相談(面談)

(2025年5月21日公開)

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