4月に入り新年度を迎え、心機一転の読者の方も多いと思いますが、いまだ感動冷めやらぬのが、先月3月8日から21日まで開催されたWBC(World Baseball Classic)。
決勝戦は平日の朝で仕事だったため、残念ながらリアルタイムで応援することはできませんでしたが、 普段野球を見ない私でも、準決勝まではTVの前に釘付けになり、声を上げて応援していました。
成果を上げる組織の要素は揃ってますか
14年ぶりの優勝に向け、重圧を背負いながら試合に臨んだ侍ジャパン。
メンバーはメジャーリーガーはじめ、各球団から選りすぐった選手たちではありましたが、対戦相手も同じく選りすぐりの選手たち。
特に準決勝以降は簡単にいかない試合が続き、危機的な状況に陥る場面もありましたが、粘り強く「つなぐ野球」に徹して、チーム力を発揮したことが優勝を導いた一因のように思います。
チームを率いた栗山監督が掲げた目標は「世界一奪還」。
栗山監督は出場が決まった選手に対して、自ら電話をしたとあるテレビ番組のインタビューでお話されていました。
電話口では、「君の力が必要だ、一緒に戦おう」という趣旨のことを伝えられたそうです。
選手それぞれに対して、目標に達成に向けた覚悟やともに戦うにあたり期待する役割を自分自身の言葉で直接伝えたことが選手たちの動機付けにつながったと思われます。
そして、大会期間中も選手たちとは真正面から話すことを意識されたそうです。
調子のいい選手もいれば結果がでない選手もいる中で、選手たちの機微を感じ取りながら丁寧なコミュニケーションを心がけ、信頼関係の構築に心を砕いていたようです。
「選手たちを信じ切る」という発言にもその思いが見えてきます。
選手の立場からすると、監督は自分の存在を意識してくれているという安心感とその期待に応えたいという思いに駆られたのではないでしょうか。
トップダウンで選手たちを牽引していくというより、選手たちと目線を合わせ、本来の能力が発揮できる環境作りをするリーダーシップスタイルであることがうかがえます。
選手それぞれも自分自身が担う役割を認識して行動し、相互に高めあいながら目標を達成しようとする空気感が醸成されていたように思います。
メジャー組では一番乗りで宮崎合宿に合流した最年長のダルビッシュ有選手は、積極的にメンバーに声をかけ、自分の持ちうる情報やノウハウを惜しみなく伝えていたという報道がありました。
また、不振が続いた村上宗隆選手に対して、大谷翔平選手や吉田正尚選手がバッティングに対するアドバイスをしていたそうです。
自分が周囲に働きかけることで、どうすればこのチームがよりよくなるか、ロールモデルとなる人物が主体的・積極的に動くことが相互に作用し、チームのポテンシャルを高めることにつながったのではと想像します。
これらのエピソードから、組織は個々人の集合体であるものの、共通の目的・目標といった旗印のもとに、それぞれがチームを盛り立てていくために何ができるかを考え、コミュニケーションを丁寧に重ねることで目標達成につなげていけることを再認識しました。
アメリカの経営学者バーナードは、組織が成立するための3つの要素について説いています。
1.共通目的:組織がめざすメンバー間で共通する目的
2.貢献意欲:組織が掲げる共通目的を達成しようとする意欲
3.コミュニケーション:メンバー間の情報共有
短期間のチーム組成であっても侍ジャパンが成果を出せたのは、この3要素が揃っていたのではないかと考えた次第です。
自社の組織はこの3つの要件が揃っているか、確認してみてはいかがでしょうか?
経営相談室 スタッフコンサルタントの東が担当しました。
東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィール
(2023年4月12日公開)
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