先日、システム開発会社の経営者と面談した際、税務調査の話になりました。
海外ビジネスにはトラブルが付き物です
同社はインド企業にシステム開発を外注しているのですが、日印租税条約に基づき、数百万円の税金が発生する可能性がある、と税務当局から言われたという話でした。
私は国際税務に詳しい訳ではありませんが、やはり国際ビジネスはどんなリスクが潜んでいるかわからない、と改めて感じた出来事でした。
リスクマネジメントの基本は「認識→評価→対策」です。まずはリスクを洗い出して認識し、そのリスクを発生確率や損失規模などで評価し、それぞれに対策を検討します。対策については、①回避(リスクのない方法を探す)、②転嫁(誰かにリスクを押し付ける)、③保有(リスクを自社で保有する)のいずれかになります。
しかし、特に海外ビジネスでは、今回のケースのように当事者が全く認識していないリスクが急に現れる場合があります。特に税務関係などは国毎に制度が違い、制度もしばしば改正されるため、想定外のトラブルが生じかねないのです。
それでは、こうした想定外のリスクに対して、事業者はどのように対応すればよいのでしょうか。
まずは弁護士・税理士・会計士などの専門家費用を予算として確保しておくことです。税務や法律関連のトラブルは、専門家でなければ対応が極めて困難です。しかも、こうしたトラブルはいつ何時起こるかわかりません。したがって、海外ビジネスでは、万が一に備えて、専門家費用をあらかじめコストとして見込んでおくべきなのです。
また、今回のケースでは専門家費用以外にも、数百万円の税金の支払いが発生する可能性がありますが、こうした想定外の支出に備えて、予備費も確保しておく必要があります。
本来、海外ビジネスは国内ビジネスよりもリスクが大きいため、こうした専門家費用や予備費を考慮しても利益が出る収益モデルでなければ、何かトラブルがあるとすぐに赤字に転落する恐れがあります。新たに海外ビジネスに取り組む際には、ぜひともご留意ください。
なお、冒頭のシステム開発会社の経営者には、経営相談室に登録している国際税務に詳しい税理士との無料面談を案内しました。
海外ビジネスにはトラブルが付き物です。同社にはこのトラブルをきっかけにビジネスモデルの強化を図り、さらなる発展につなげていただきたいと思っています。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉仁史が担当しました。
▼泉 仁史(いずみ ひとし)へのご相談(面談)
(2024年9月18日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ