カプセルトイで、あるメーカーの“食パン”のフィギュアが流行っていました。精巧に再現されているフィギュアで、大人が主な購入層だったようです。
まだ見えない“強み”の発見
最近は、思わぬ商品がカプセルトイなどのいろんなものに形を変えて市場に投入されています。
これらは知的資産(IP(Intellectual Property)を活かした戦略のようです。企業によって知的資産の利用目的は様々ですが、どのような活用方法があるか考えてみたいと思います。
知的資産とは、“人材”、“技術”、“組織力”、“顧客とのネットワーク”、“ブランド”等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となり、どんな会社にも存在します。
著作権、商標権、特許権などの知的財産権、有名作品のキャラクター、製品のデザインなどに限定されて理解されることが多いですが、それらは“知的資産”の一部です。
知的資産(IP)の活用シーンは、企業規模・業種業態、保有している知的資産により様々です。主に、“売上アップ”、“認知度の向上”、“ファンコミュニケーション”、“企業価値の向上”などに利用されています。
冒頭にあったカプセルトイなどは、“認知度の向上”、“ファンコミュニケーション”として利用されています。もともと知られていた商品の形や用途を変える(食パン→カプセルトイ)ことで、SNSで話題となり多くの人に知ってもらうことができました。
また、IPビジネスと言われ、自社の強い知的資産(IP)を貸与し、ライセンス収入を得るビジネスモデルもあり、大手を中心に利用されています。
特に、人気の高いキャラクターを使ったプロモーションは馴染みがあります。キャラクターそのものにファンがついているので、一定の売上が期待できます。
日本を代表するアニメーションのキャラクターは、ファンの趣味・嗜好が似ているので、利用する企業にとっては希望するターゲットにアクセスできるといったメリットもあります。
中小企業においても、知的資産は使われており、主に業績アップに役立てられています。財務諸表ではわかりにくかった自社の価値を、取引先に理解してもらえたことで、業績アップを実現したというケースもあります。
具体例としては、「知的資産経営報告書の活用事例」にまとめられていますので参考にしてください。
自社の知的資産がどのようなものか把握できていないといった会社も多いと思います。人材、技術、組織力といった目に見えないものが多いため、意識的に取り組み、言語化していく必要があります。
特別な方法はなく「経営者や従業員へのインタビュー」、「工場の視察」、「ワークショップ」など、経営分析で行う“強み”を発見するプロセスと同じです。
ただ、棚卸をする際に、“強み”をどのように活用していくかといった視点も踏まえて探すのがポイントです。
知的資産は発見も大事ですが、積極的に活用して業績アップを期待したいですね。
自社で知的資産の活用に、取り組む場合には、「事業価値を高める経営レポート作成マニュアル改訂版」が役に立ちますので参考にしてください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 大西 が担当しました。
大西 森(おおにし しげる)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2022年9月21日公開)
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