第481回 自ら考えて行動する社員を育てる|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

自ら考えて行動する社員を育てる

  • 自ら動ける人材になるために必要なこと
  • 内発的動機付けとは
  • 内発的動機付けを高める取り組み例

自ら動ける人材になるために必要なこと

経営相談室の東です。気が付けば新緑がまぶしい季節となりましたね。
今年のゴールデンウイークは最長10連休だそうですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?私はカレンダー通りに出勤しています。

内発的動機付けを高める工夫をしましょう

内発的動機付けを高める工夫をしましょう

さて、先日、ある経営者の講演をお聞きする機会があり、講演後の参加者からの質問に対して回答された言葉が印象に残りました。
「安心や安全を第一に考えないといけない事業を営んでいるが、従業員に意識してもらうために何が重要か」という問いに対して、「安全・安心を意識しなければならないという危機感が原動力になってはいけない。自分の仕事を通じてお客さまにどんな価値を届けているかを意識してもらうことのほうが重要で、そのために何をすべきかを自ら考えることでこちらが意識させなくても主体的に動くようになる。」とお話しされていました。

内発的動機付けとは

このやりとりを聞いていて思い出したのが、「内発的動機付け」という言葉です。
内発的動機付けとは、人の内面に湧きおこる興味・関心や意欲によって、動機づけられている状態をいいます。
対義語となる「外発的動機付け」は、報酬や懲罰といった外部からの働きかけによって動機付けられている状態をいいます。
外発的動機づけは、報酬や懲罰を与えるという分かりやすさがあるため、仕事に対して関心や興味が持てない人でも短期間で動機づけすることができます。しかし、報酬を得ることを当たり前に感じたり、懲罰を回避できることがわかったりするとその効果は長続きしません。
一方、内発的動機付けは、自らの興味関心のもと、どう取り組めばいいのかを考えるため、自主性や創造性が高まり、意欲的に業務に携わることにつながります。外発的動機付けのように短期間での動機づけにはなりませんが、自らが納得して取り組むため、持続性が期待できます。

内発的動機付けを高める取り組み例

社員の内発的動機付けを高めるには、さまざまな取り組みがありますが、ここでは3つに絞りお伝えします。

①自己の棚卸をする機会を提供する
社員の内発的動機づけを促すためには、何に対して興味・関心が向くのかを自分自身で知ってもらうことが必要です。まずは、自分がこれまでに培ってきた知識・経験・趣味などを紙に書き出すなどして言語化してもらいます。過去の振り返りを通じてどこに興味・関心を覚えるのかを棚卸し、確認する機会を作ってみましょう。

②個人の強みに応じた仕事を割り当てる
個人の強みや得意として認識している仕事は、努力が苦にならずやりがいを感じやすいため、内発的動機付けにつながりやすいです。①で行う自己の棚卸からどんな特性や強みがあるのかを抽出し、その強みや得意が発揮できる仕事が何かを考え、割り当てることができないかも検討してみましょう。

③役割や期待度を伝える
任せている仕事に対して、どんな役割を担ってほしくて何を期待しているかを面談などの場で個別に伝えましょう。社員は求められていることが明確になるため、何をすれば期待に応えられるのか興味・関心が向き行動がとりやすくなります。
その結果、期待に応えようと行動することが評価につながっていくと、さらに、内発的動機づけが高まる好循環が生まれます。

どのように内発的動機付けを高めて個人のモチベーションを向上させ、さらに個人の集合体である組織の活性化につなげているかを再確認してみてはいかがでしょうか。

経営相談室の東が担当しました。

東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2024年5月1日公開)

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