第444回 意外と知らない電帳法の要件緩和。対応を焦らないで。|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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意外と知らない電帳法の要件緩和。対応を焦らないで。

  • 電子帳簿保存法の要件が緩和されています
  • 一旦の見直しもあり
  • デジタル保管は、今後のためにも必要

電子帳簿保存法の要件が緩和されています

こんにちは。経営相談室 DX推進プロジェクトの折原です。
7月生まれなので、夏は好きな方なのですが、こう暑いとその気持ちも変わりそうです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とはよく言ったものです。

焦らない、焦らない、一休み、一休み

焦らない、焦らない、一休み、一休み

電子帳簿保存法の要件が緩和されています。
国税庁の「電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~(令和5年4月)」によると、令和5年度税制改正で、保存に関する要件が変更されています。特に「③電子取引データ保存に関する主な改正事項」の概要は、下記の通りとなります。

1. 検索機能の全てを不要とする措置の対象者が見直されました。 2. 基準期間の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者から「5,000万円以下」の保存義務者に拡大されました。 3. 「電子取引データをプリントアウトした書面を整理された状態で提示・提出できる保存義務者」が対象に追加されました。 4. 令和4年度の「宥恕措置」は令和5年12月31日で廃止されますが、保存済みの電子取引データは令和6年1月1日まで有効です。 5. 新たな猶予措置では、特定条件を満たす場合、検索機能や改ざん防止の要件を満たす必要がなく、電子取引データを単に保存すれば良いとされています。ただし、「ダウンロードの求め」にも応じる必要がありますので、注意が必要です。

「ダウンロードの求め」以外は、従前より緩和されています。
特に3と4の「電子取引データをプリントアウトした書面を整理された状態で提示・提出できる保存義務者」の項目が、ファイルなどに分類は必要ではあるものの、令和5年12月31日以降も認められる、という変更は大きいのではないでしょうか。

一旦の見直しもあり

今回の変更を踏まえて、「今年度中に何とかしないと」、と焦って進めていた皆さんも、「一旦先延ばし」という選択肢ができました。業者から「期限」を強調されて、選択肢が狭まっているなら、一旦「期限」の制約を外して、本当に「そのシステム」が自社で必要なものなのかどうか、をもう一度考えてみてください

デジタル保管は、今後のためにも必要

ただし、永久に紙で保管する、ということは場所のコストや検索性を考えても、選んではいけない選択肢です。上記のマイナス点に加えて近い将来、より安価にAIでのデータ分析が行いやすくなる、という点も考慮してデジタル保管に舵を切るべきでしょう。今回の措置は、あくまで自社でのやり方をどうするかということを考える時間ができただけです。自分たちで期限を決めて、しっかりとデジタル化を進めて行きましょう。

経営相談室 DX推進コンサルタント 折原が担当しました。

折原 正博(おりはら まさひろ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 折原 正博(おりはら まさひろ)のプロフィール

(2023年8月2日公開)

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