ゴールデンウイーク、皆さまはどのようにお過ごしでしたでしょうか。私は許される限りのんびりと過ごして、頭と体を整え鋭気を養いました。
お金を残すことを意識しましょう
さて、私は日頃多くの中小企業経営者とさまざまなことをお話しするのですが、最近の悩みは「お金」と「人」に集約されます(過去からずっとかもしれませんが)。
特にお金に関しては、資材価格・ガソリン価格・人件費などの高騰に加えて、コロナ融資の返済が始まったことで、お金の流出に危機感を感じる経営者が多くなっています。実際に2024年度の倒産件数は10,006件と2013年以来の1万件越えとなっており(※1)、倒産が対岸の火事とは言えない状況と言えそうです。
当然のことながら会社のお金が枯渇すると倒産の危機に陥るため、毎年どれだけのお金が会社に残るのかをある程度把握する必要はありますが、多くの経営者が「利益(当期純利益)=会社に残るお金」と勘違いをしています。しかし、金融機関などへの借入金の返済がある会社では、この勘違いは大変危険です。なぜなら、借入金の返済は会社から出ていくお金ではありますが、費用(経費)にはならないからです。
また、逆に費用(経費)には含まれるものの、会社からお金が出ていかない減価償却費という費目もあります。会社にどれだけのお金が残るのかは、これらをまとめた下記の計算式で確認できます。
会社に残るお金=(当期純利益+減価償却費)-借入金の返済額
※目安となる簡易な計算式であるため、実際の数値と異なることがあります。
経営者と話をしていて時折耳にするのが「ちょい黒」という言葉です。「ちょい黒」というのは、損益計算書で赤字にならず、法人税の負担を最小限に留める程度の黒字にするということですが、これは本当に正しいのでしょうか。上記の計算式を見ていただければわかると思いますが、借入金の返済額よりも減価償却費が少ない会社で「ちょい黒」であれば、会社にお金がほとんど残らないか減っていくことになります。
法人税を少しでも軽減するために、節税をしたいと考える経営者は多くいますが、節税には注意が必要です。法人税を軽減するということは、経費を増やして、利益(儲け)を減らすということですので、節税は利益(儲け)を減らす行為です。無理な節税により、法人税を軽減できたとしても、利益(儲け)を減らし、会社に残るお金が減ることになれば本末転倒です。少なくとも借入金の返済がある間は、無理な節税をせずにしっかりと利益を出して、借入金を返済しても会社にお金が残る、さらにお金が増える状態をめざすべきだと思います。
経営相談室では決算書の理解や資金繰りの相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。
また、当館で資金繰りに関するセミナーも開催予定ですので、興味がある方はセミナーの概要をご覧ください。
【はじめての〇〇セミナー】きちんと押さえたい!経営者のための資金繰り基礎講座
「経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました
(※1)出典:株式会社東京商工リサーチ 全国企業倒産状況(2024年(令和6年)の全国企業倒産1万6件)
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1200857_1610.html
▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)
(2025年5月14日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ