みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
つい先日までお正月…と思っていましたが、もう1月も残りわずか。1月は行く、を年齢とともに実感するようになりました。
お金が絡むと判断が鈍ることはある…
経営相談室では、経営に関する様々なご相談・お問い合わせをいただきます。
その中で、ここ最近特に気になっているのが、「〇〇すれば補助金(助成金)が受け取れるって聞いたのですが」といった類のお問い合わせ。
それも、「とても簡単な手続だけで、ほぼ無条件でもらえる」といったニュアンスの問い合わせが増えているように感じています。
新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ウクライナ情勢の影響、物価高で原材料が高騰、最低賃金の引上げ、社会保険の加入対象の拡大などなど、経営には厳しい環境が続くなか、「お金がもらえる」という情報はとても魅力的に映るのだろうと思います。
たしかに、補助金や助成金はたくさんありますが、いずれも目的を持って制度設計されています。
事業を促進するためであったり、雇用を守るためであったり、その目的に合致する取り組みに対して、一部資金をサポートする、というのが補助金・助成金の基本的な性格です。
お金の流れで言えば、「プラスになるお金」ではなく、「マイナスを補填するお金」なので、補助金・助成金でもうかることはありえません。
また、補助金・助成金は原則後払いです。
補助金・助成金の申請をした後、申請内容に沿った取り組みを自社で調達した資金で実施し、取り組み完了後にようやく補助金・助成金が入金されます。
つまり、すぐにお金がもらえるわけでもないですし、補助金・助成金が入金されるまでの間の資金負担が必要になります。
・「確実に補助金・助成金が受けられます!」といった趣旨の営業電話を受けて、そのまま契約してしまったが、事務手数料だけ取られて結局補助金や助成金を受け取れなかった
・相手に言われるがままに手続を進めたら、実は不正受給になっていた
といったトラブルも聞かれます。
たとえ、自社が意図していなかったとしても、これらのトラブルの結果で不利益を被るのは自社です。
申請要件に当てはまっているのかどうか、相手の言っていることは正しいのか、これらを自社で確認することを怠ると、非常に危険です。
まずは国の支援機関である中小機構が運営するJ-net21などで、補助金・助成金の情報の概要を調べてみましょう。
特に、不正受給になってしまった場合は、受け取った補助金・助成金の返還はもちろん、罰金が科せられることや、同種の補助金・助成金に申請できなくなることもあります。金銭的な処分だけでなく、社名の公表による信用失墜のリスクや、最悪の場合には逮捕されることもありえます。
窮状を脱したい!という想いが、自らの首を絞めてしまう……。
こんなことにならないために、「お金がもらえる」という話に飛びつく前に、一呼吸。
経営相談室 スタッフコンサルタント 高松 が担当しました。
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(2023年1月25日公開)
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