こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。
旅立ちの季節である春が近づいてきました。
退職する社員への対応で、ご相談をいただく機会も多くなります。
退職社員に対して会社がやるべきことと、やってはいけないことがあるのをご存じですか?
トラブルになる前に、チェックしていきましょう。
退職する時に社員が求めてきた場合には、会社は「証明書」を作成して渡してあげることが必要です。
「証明書」の内容は、①使用期間、②業務の種類、③その事業における地位、④賃金、⑤退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)です。その社員の再就職活動を支援することが目的です。
もちろんこの退職時には、社員の自己都合退職だけでなく、会社から解雇された場合や労働契約期間の満了により、自動的に契約が終了する場合も含まれます。つまり、退職の原因を問いません。
前述の証明書には、記載すべき内容①~⑤のうち、社員が請求した事項のみしか記入してはなりません。社員が請求しない事項を記載することは法律で禁止されています。
例えば、解雇された社員が「解雇された事実のみ」について証明書を求めてきた場合、会社は解雇の「事実のみ」を証明書に記入し、その「理由」については記入してはいけません。
また社員の再就職を妨害しようと、その社員の国籍、信条、社会的身分、労働組合運動に関する情報を、あらかじめ第三者と連絡し合ったりすることも禁止されています。
前述の証明書に秘密の記号を記入することもダメです(再就職先へ提出する証明書に何らかの記号を付すことで、その社員の国籍、信条、社会的身分、労働組合運動に関する情報を暗に伝えようとする場合などですね)。
これは計画的にブラックリストが回覧されることを禁止しているのであって、事前の申し合わせではない具体的な照会への回答は禁止されていません(再就職先の会社が証明書によってその社員が解雇された事実を知り、前職の会社へ「どういういきさつがあったのですか?」と問い合わせたり、それに答える場合などですね)。
会社を辞める時に社員(もしくはその家族)にとって、最大の関心事は「先立つもの(お金)」です。ですからその関心事(お金)を逆手にとって、退職時に不当な足止めをしないように、法律で決められていることがあります。
あわせてチェックしておきましょう。
会社は従業員が死亡または退職するとき、本人もしくはその家族(権利者)から請求があった場合、7日以内に未払いの賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、その社員の権利に属するお金を返還しなければなりません。
なお「7日以内」とは、退職(死亡)の日からではなく、請求があってからカウントします。なお、退職金は就業規則等で定められた支払時期に支払えばOKです。「7日以内」に拘束されません。
経営相談室 スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。
(2017年1月18日公開)
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