第286回 歴史から学ぶ災害時対応。今こそBCP(事業継続計画)の確認を。|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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歴史から学ぶ災害時対応。今こそBCP(事業継続計画)の確認を。

  • 江戸時代にもBCPがあったのか?
  • 災害からの再建復興には得意先情報が重要
  • コロナウイルス禍対策と近未来の南海トラフ地震に備えて

江戸時代にもBCPがあったのか?

みなさん こんにちは。経営相談室の田口です。

第2波、第3波のピークも予想されるなどいつ本格終息するか見通しの立たない新型コロナウイルス禍。経営者の皆さんの心労、心からお見舞い申し上げます。

今だからこそBCPの策定、見直しが必要

今だからこそBCPの策定、見直しが必要

私が好きな小説のジャンルに歴史ものがあります。
先日も江戸を舞台とした小説を読んでいました。そこにあった一節にハッとさせられました。

「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた街が舞台で、正に火事の場面が描かれていました。その場面で江戸の商家が火事に遭遇したとき、持って逃げるのは金銀財宝ではなく大福帳。「お得意様の名簿がさえあれば、売り物など多少焼けても商売は立て直せる。」と言われていたとありました。

大福帳は掛売りの内容を取引先別に記入する管理帳簿のことで、売上帳から商品の価格や数量を転記し取引先ごとの取引状況を明らかにした帳簿で商家にとっては最も重要な帳簿の一つでありました。

この火事にあった時に大福帳を真っ先に持ち出す行為こそBCP(事業継続計画)に基づく行動ではないかと思ったのです。今から200年以上前の江戸時代にBCPの考え方があったことに驚きです。

災害からの再建復興には得意先情報が重要

当時の江戸の街での最も現実的な脅威は火事ではなかったでしょうか。もちろん大地震もあったようですが。

その身近に想定される火事に遭遇した時に、真っ先に守らなければならないものが大福帳。もちろん売掛という債権の確保もありますが、商売の再建復興に必要なもので最も重要なものが得意先情報と考えられた結果なのでしょう。

新型コロナウイルス禍対策と近未来の南海トラフ地震に備えて

翻って現代社会ではどうでしょうか。
今まさに新型コロナウイルスが蔓延し、世界経済を混乱に陥れています。
また、大阪を含む西日本では近未来に南海トラフを震源とする大地震発生の危険が叫ばれています。

こうした大災害に直面した時に、被害を最小限度にするために、そして早期に通常ベースに復旧させるために、何をしなければならないのでしょうか。それを明らかにしておくのがBCP(事業継続計画)です。

さらに単に策定するだけではなく、社内全員の共通認識にしておくことが重要なのです。

事業を行っていると常にいろんなリスクと背中合わせです。そのリスクをいかに最小限にとどめるかが経営者の手腕の見せ所です。この新型コロナウイルス禍の今だからこそBCP(事業継続計画)を策定されていない場合は策定を、策定されている場合は不具合がないか見直しを検討してください。

こんな困難な時代だからこそ、経営者の手腕が問われるときであり、その時代が過ぎ去った時に他社から一歩抜きん出た会社にするための絶好のチャンスだと思いましょう。

経営相談室 スタッフコンサルタント 田口 が担当しました。

▼田口 光春( たぐち みつはる )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 田口 光春( たぐち みつはる )のプロフィール

(2020年5月27日公開)

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