第393回 サブスクリプションサービスを取り入れよう|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

なかのひと
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

サブスクリプションサービスを取り入れよう

  • サブスクリプションとは
  • サブスクリプションが増えている背景
  • サブスクリプションをはじめる準備

サブスクリプションとは

最近、SNSで友達が紹介していた『Dr.STONE (ドクターストーン)』と『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』という長編アニメを少しずつ見ています。
レンタルでは借りに行くのも面倒だったので、サブスクリプションで気軽に視聴できるようなったおかげです。何話まで見たか忘れてしまう私にとって履歴を残してくれるのもありがたい機能です。

サブスクリプションで収入を安定化する

サブスクリプションで収入を安定化する

今回は、配信サービス以外にもいろんなサービスが増えているサブスクリプションについてまとめてみました。

まず、サブスクリプション(subscription「予約購買」)は、これまでの買取型の商売と違い、利用した期間に応じて料金を支払う方式のことで、“サブスク”と略されています。軌道にのれば、安定収入が見込める魅力的なビジネスモデルです。

サブスクリプションは、ソフトウェアの利用サービスで普及し、月額の動画配信、雑誌・コミックの電子書籍読み放題、音楽配信サービスなど身近な存在になりました。
最近では、洋服などの小売や喫茶店などの飲食サービス分野の事例もあります。どの事例も、“所有価値”ではなく“利用価値”を提供することで、顧客との長期的な関係維持をめざすビジネスモデルとなっています。

サブスクリプションが増えている理由

サブスクリプションが増えている背景には、インターネットの進歩、物流の高度化に加えて、消費者意識が変化していることがあげられます。

「消費者の意識変化」とは、長引く低成長、雇用不安、デフレといった環境で「所有欲」が薄れ、消費者が利用そのものに価値を認めるように変化していることを指しています。

事例をあげると、高額バッグの定額利用サービス(Laxus)では、何十万円もするバッグを月額料金のみで「使う」ことがサービス対象です。また、女性向け月額ファッションサービス(airCloset)では、スタイリストがコーディネートした洋服が届き、その日から着こなしができることが提供するサービスとなっています。

サブスクリプションをはじめる準備

サブスクリプションを計画する際には、“誰に”、“何を”、“どのように(価格・料金、頻度、エリア、配送方法)”といった基本的な検討項目は他の事業と同じです。

ただし、利用価値が中心になることで価格設定の考え方が変わります。商品販売を行う事業では、コストの積み上げで価格を決めることができましたが、サブスクリプションの場合は、長期的な関係を前提に、月額の価格設定を行います。購入するより利便性が高いと思える価格設定が求められます。

また、長期間で回収する収益構造になっていることに加えて、開始直後は、商品の調達費用、ソフトウェア開発費用など初期コストが大きくなることが予想されます。そのため、下記のような計算式(ユニットエコノミクス)を用いて、妥当性を判断します。

ユニットエコノミクス = LTV÷CAC>3
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)= 1顧客当たりの支払う定額×継続期間
CAC(Customer acquisition cost:新規顧客獲得費用)= 顧客獲得にかかった総費用※/新規顧客数
“LTV÷ CAC >3”とは、顧客生涯価値(LTV)が、一人当たりにかける新規顧客獲得費用(CAC)の3倍より多いことを意味しています。
3倍より多いと収益性の高いサブスクリプションサービスと判断します。

※商品、サービスの製造・調達・確保等の費用、物流、ITシステム構築費、システム運用費、販売管理費用、広告宣伝費など

サブスクリプションはITシステム構築も必要となり、検討事項も多く簡単なビジネスモデルではありませんが、長期的に利用してもらうためには商品サービスにどんな価値が必要か改めて考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

経営相談室 スタッフコンサルタント 大西 が担当しました。

※参考:J-Net21 中小タスクが行く!「第22回:サブスクリプション編」
https://j-net21.smrj.go.jp/special/tasuku/case22.html

大西 森(おおにし しげる)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 大西 森(おおにし しげる)のプロフィール

(2022年7月27日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

06-6264-9820
(9:00~17:30※土日祝除く)