「価格をどうするか」で悩む経営者は大勢います。特に創業してすぐの場合、自分の商品・サービスを自分の看板で販売したことがなく、また経営者として自分で値決めをした経験もないため、なかなか決断できないという方がいます。
値決めには自信が必要です!
そうしていったん悩みだすと、「自分の商品・サービスが果たしてこんな値段で売れるのか?」と考え出し、「最初はキャンペーン価格で」というもっともらしい理由で価格をどんどん下げてしまうことになります。しかし、値段は安ければ売れるというものでもないため、「安くても売れないのか?」と自信を失ったり、たとえ売れても次に値段を上げると売れなくなったり、という状況になりかねません。
「値決めは経営である」という京セラ創業者の稲盛和夫氏の有名な言葉があります。まさしく価格は経営者の決断事項であり、そこには判断が入るため、人によって答えが異なります。したがって、まずは「価格に唯一の正解は存在しない」と認識した上で、経営者として考え抜いて値決めする必要があります。そして、その価格を正解にするべく、商品・サービスの品質を高めたり、コストダウンしたりといった努力を行っていくのではないかと思います。
また、値決めには自信が必要です。自分の商品・サービスに自信がないと、どうしても安い競合事業者に目がいってしまい、「もっと安くしなければ」と考えてしまいがちです。中小企業が無理な安値競争に巻き込まれると、体力を削られ、事業継続に支障が出ます。したがって、まずは自分達の商品・サービスの強みをしっかりと把握し、安い競合事業者と自分を単純に比較しないことです。あわせて、安さしか求めない取引先からは離れ、自分達の商品・サービスを適正に評価してくれる取引先を探していくことです。価格だけでしか評価されないと、体力の乏しい中小企業には厳しいですし、自分達の商品・サービスにプライドを持つことができなくなってしまいます。安易に安値に走ることなく、自分達の商品・サービスの価値を高め、適正かつ継続できる価格レベルを自ら構築していくことが、中小企業の生きる道なのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
泉 仁史(いずみ ひとし)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2023年6月21日公開)
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