経営相談室の東です。
私は日々経営相談室で経営者の方々の個別相談にのっていますが、それ以外にも大阪産業創造館で実施している事業に携わっています。
まずはキーワードを洗い出そう!
そのうちのひとつが「なにわあきんど塾」。
若手後継者・経営者に対して、1年間かけて経営者としての器を磨き、自社に向き合っていただくプログラムで、開講して38年が経過しており、現在39期生を募集しています。
そのあきんど塾で必ず取り組んでいただくのが、「中期経営計画」。
3~5年後の自社の理想像を描いてもらい、その実現の道筋を具体化していただいています。
1年間の学びの成果としてまとめていただくという目的もありますが、理想像を実現するためには、受講生だけでなく会社の人にも役割を担ってもらわなければならず、その内容を伝えることが必要だからです。
受講生に限らず、経営者の頭の中にある思いや考えは、言語化・可視化しなければ、自分以外の人たちに伝えることができません。
自身の思いや考えを書面に落とし込み、共有化することによって、理想像の実現に向けた実行段階へと移行することができます。
なにわあきんど塾のプログラムではプロセスを細かく分けて作成していきますが、計画作成のプロセスは大きく2つに分かれます。
・現状の把握
まずは自社の現状を把握するため、強み・弱みを洗い出していただきます。
弱みは比較的出てきやすいのですが、強みとなるとなかなかでてこない傾向にあるので、なにわあきんど塾では「知的資産経営」の考え方を切り口として使い、目に見えにくい知的資産を洗い出すところから強みを抽出しています。
さらに自社を取り巻く外部環境においても、「顧客」、「競合」、「仕入先・協力会社」、「マクロ環境(政治・経済・社会・技術)」といった切り口を設定して洗い出していくと抽出しやすくなります。
・将来像の検討
現状分析の結果を踏まえて、今後の理想像を検討します。
その際、現状分析で確認した内容をもとに、自社の強み・弱み、そして外部環境の機会・脅威を掛け合わせて将来の選択肢を導き出します。
そのうえで理想像となるゴール、達成時期と状態の設定をします。
さらには、そのゴールに至るために、既存事業や新規事業をどのような組織体制で、いつどのように実行するのかを計画書に落としこんでいきます。
特に大変なのが、不確定な将来を予測しながらどのような理想像を描くかです。
計画を作成する際には下記の3つを意識することをポイントとしてお伝えしています。
1:フォーマットの記載項目は計画書を考えるための質問と捉える
計画書には様々なフォーマットが用意されていますが、骨格となる質問項目は共通しています。まずは、計画書を作っていく上で、考える必要のある内容として、質問項目に応えていくことから始めていきましょう。
2:まずは思いつくキーワードを出して点と点から線に繋げる
その際ネックになるのが、イメージしやすい項目は書けるけど、イメージしづらい項目に出くわすとそこで止まってしまうことです。
まじめな方ほど最初からきちんと埋めなければと思われる傾向にありますが、最終的に計画書が整いさえすれば記載する順番はさほど重要ではありません。
まずは、設定されている項目で落としこめる内容から、文章にまでしなくてもキーワードでもいいので落としこんでいきましょう。
「点」を出していくとそれがやがて「線」でつながって、文章として整えることができるようになります。
3:人に伝えてフィードバックをもらう
書くという作業は思いのほか大変な作業です。
しかしながら、経営や事業のことを常日頃考えているため、質問されたら口をついて出てくることがよくあります。
今、なにわあきんど塾の38期生は卒塾要件である中期経営計画作成の追い込み段階に差し掛かっていて、将来像を言語化するのに苦慮していますが、同期生とのディスカッションや個別面談で質問を重ねていくにしたがって、自分の中にある思いや考えを言語化しています。
人の力を借りて目に見えない思いや考えを引き出すことで、計画書の作成に弾みがつくことがあります。
計画書を作ってみたい、作ってみたけど進めるのが難しいと思ったら、経営相談室でも個別に経営や事業に関する計画書の作成をサポートしていますのでお気軽にご利用ください。
経営相談室の東が担当しました。
東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 東 純子(あずま じゅんこ)のプロフィール
(2024年2月21日公開)
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