こんにちは、経営相談室の谷口です。
今日は収益を改善するために、経営者が決算書のどこに着目すべきかについて、お伝えします。
決算書をヒントに収益を改善しましょう!
決算書の分析を開始する際に、最初に注目すべきは固定費です。
売上アップや値下げ交渉と違い、固定費は自社の意思決定で削減が可能で、短期間で効果を出せる可能性があります。
例えば、販管費の中には不必要な交際費や費用対効果が出ていない広告宣伝費などが潜んでいるかもしれません。
これらを特定し、無駄を削ぎ落とすことが重要です。
また、節税対策で、本来、必要のないものを購入し、経費として計上することがあるかもしれませんが、その結果、内部留保が減少し、財務の安全性が低下する原因となります。
慎重に節税対策を検討し、バランスを取ることが大切です。
変動費とは、販売数に比例して増減する経費のことで、ここではその代表である材料費に焦点を当てます。
特に近年は材料費の高騰が目立っており、それが販売価格に転嫁できているか確認してください。
製造原価報告書にある材料費を売上高で割ると、売上高に占める材料費の割合が算出できます。
割合が過去と比較して大きくなっている場合は、材料費の上昇分を考慮して値上げをする必要があるかもしれません。
さらに、取引先ごとに分析すると、どの取引先に対して交渉すべきかがわかり、値上げ交渉の根拠として示すこともできます。
最後に労務費も製造原価に占める大きなコストになります。
より少ない人数で、高い付加価値を生産しているかがポイントです。
従業員1人当たり売上高や労働生産性(※)などを分析すると、効率的に生産できているかチェックできます。
※労働生産性:(税引前当期純利益+人件費+減価償却費)/従業者数
これらの数字を過去の指標や同じ業界の平均値と比較することで、良否の判断ができます。
同じ業界の平均値に関しては、日本政策金融公庫のデータを参考にしてください。
日本政策金融公庫 小企業の経営指標調査
https://www.jfc.go.jp/n/findings/shihyou_kekka_m_index.html
最後に、決算書は自社の経営課題を把握するためのヒントとなります。
これを基に収益改善を図り、持続的な成長と競争力の強化を進めましょう。
経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口が担当しました。
谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィール
(2023年11月1日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ