この原稿を2022年4月11日に書いています。まさに今、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが世界中で伝えられています。
トラブル発生時ほど報・連・相を大切に
私も連日その関係のニュースを見ていますが、なかでも印象が深かったシーンがロシア議会でプーチン大統領とロシア議会閣僚が意見を交わしあうものでした。閣僚が口ごもることが多い中、プーチン大統領は、「私が聞きたいのはイエスかノーかだ。」と言っていたと記憶しています。議会閣僚が「ノー」とは言えない雰囲気を感じました(あくまでも私が感じたことです。私とは違った印象を持たれた方はご容赦ください。)。
どんなに優秀なリーダーでも、現場の状況を全て把握することはできません。現場で働くメンバーが状況をありのままに報告することが肝要です。組織に悪い影響を及ぼす要因ほど、ありのままに報告する必要があります。
そのような報・連・相ができない組織では、リーダーは、残念ながら「裸の王様」と言わざるを得ません。
企業活動には「うまくいかないこと」、「思い通りにならないこと」が山のようにあります。しかし、このような事項こそ、速やかに上司に報告する必要があります。事業が「うまく」いっている場合、上司は報告を受けないでもわかるものです。
伝票処理等が社内ルール通り行われていることが前提ですが、「うまくいっている」場合、売上が増加し、売掛金回収や商品在庫回転率が正常に回っています。売掛金の場合、決済条件が当月末締翌月末払いだと、販売先に請求書を送ってから2か月後には入金します。ですから、極論かもしれませんが、社員が上司に入金の事実を報告する必要はありません。売掛金一覧や在庫一覧表が状況を示すからです。
しかし、例えば売掛金の回収が約定通りいかない恐れが生じるなど、何か取引上で問題が発生したら、現場の社員は速やかに上司に報告しなければいけません。売掛金回収が遅延する原因を整理し、販売先との交渉だけでなく、仕入先や加工先にも遅延原因がある場合は、一人の社員だけでは解決が困難な場合も多いので、上司を含めた組織力で対応策を考えるべきです。
これらのことを「企業文化」の視点でとらえた場合、経営に悪い影響を及ぼしかねないトラブルほど、速やかに部下から上司に報告が上がることが大切ということになります。
上司の言動等が社員達に必要以上のプレッシャーをかける場合、部下は会社が直面している危機にはふたをして、上司の聞き心地がよい報告しかしなくなります。このような状況になると、問題の解決が遅れるだけではすまずに、損害が発生することも起こり得ます。問題への対処が遅くなればなるほど、つまり、問題を先送りするほど経営に対するダメージも大きくなります。
事業に悪い影響を与えるトラブルは、迅速に組織全体で対処策を考える必要があります。その結果、損害が発生するとしても最小化されるはずです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 森 が担当しました。
(2022年4月20日公開)
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