第378回 制度改正から感じるアフターコロナ。雇用保険制度の見直しの影響|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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制度改正から感じるアフターコロナ。雇用保険制度の見直しの影響

  • 令和4年4月から変わる人事・労務をおさらい
  • 雇用保険制度の見直しの影響
  • 雇用保険制度の見直しはアフターコロナの兆し?

令和4年4月から変わる人事・労務をおさらい

みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
令和4年度スタートしましたね!暖かい日が増えていくウキウキと、新たな環境に対応するドタバタの共存…というのが、私の年度初めの定番となっております。

うっかり忘れがないか、再チェック!

うっかり忘れがないか、再チェック!

法律で決まっている以上、「これは対応するけど、こっちは後回しでいいか」とはいかないのが人事・労務管理。「知らなかった」では済まされませんので、まずは厚生労働省のHPにまとめられている主な制度変更をチェックしてみましょう。

<厚生労働省関係の主な制度変更(令和4年4月)について>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659_00013.html

パワハラ防止措置、育児休業制度については以前ブログでも取り上げさせていただきましたので、記憶されている方もおられるかもしれません。

それ以外にも、人事・労務関係だけで、こんなにたくさんの改正があるんですね…。タイトルを見るだけでも、個人的にはおなかいっぱいです。「もしかして対応できてないかも?」と気になることがあった方は、ぜひ経営相談室の専門家相談をご利用ください。

<大阪産業創造館 登録専門家「労務管理」「人事・組織」>

雇用保険制度の見直しの影響

たくさんある制度変更の中でも、実際に支出を伴う「雇用保険制度の見直し」は、事業者にとってわかりやすい影響の一つ。令和4年4月1日から、雇用保険料が上がります。

現時点では、令和4年4月1日に事業者負担分のみが0.05%アップし、令和4年10月1日からは事業者負担分、従業員負担分がそれぞれ0.2%アップする予定です。

具体的にどのくらい変わるのか、「雇用保険の対象となっている従業員への年間給与額が1,000万円の一般事業の事業者」で試算してみました。

【令和3年度の年間の雇用保険料】
1,000万円×(労働者負担分0.3%+事業者負担分0.6%)=90,000円
【令和4年度の年間の雇用保険料】
令和4年4月~9月:1,000万円×6/12ヵ月×(労働者負担分0.3%+事業者負担分0.65%)=47,500円…①
令和4年10月~令和5年3月:1,000万円×6/12ヵ月×(労働者負担分0.5%+事業者負担分0.85%)=67,500円…②
①+②=115,000円

雇用保険料の納付は、毎年6月1日~7月10日に一括納付(納付額等によって三分割で納付)です。保険料率の上げ幅はそれほど大きくないですが、1年分まとめて支払うとなると、従業員の人数の多い事業者だと負担に感じることもありそうです。

雇用保険制度の見直しはアフターコロナの兆し?

あえて「雇用保険料率が上がる」という書き方をしましたが、実は見直し後も本来の保険料率よりは低く抑えられています。つまり、この先さらに雇用保険料は上がる可能性がある(正確には本来の保険料率に戻る)、ということです。

保険料率が上がる理由は、「保険給付が多かったから」の一言に尽きます。コロナ禍においては、雇用調整助成金の特例措置をはじめ、企業の負担を大きく増やさず雇用を守るために、雇用保険を財源とした給付がたくさん行われてきました。

雇用保険料の見直しは、給付優先から、収支のバランスを考えた平常運転へシフトする、ということでもあるのでしょう。雇用調整助成金の特例措置も令和4年6月末までの見込みですし、2022年度はいよいよアフターコロナに向けた動きが加速しそうです。

個人的には趣味のマラソン大会参加が叶うことを期待して、2022年度はちゃんと練習しようと思います。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高松 が担当しました。

高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィール

(2022年4月6日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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