「起業しても1年後に7割、3年後に3割、10年後には1割しか生き残っていない」というようなことを聞いたことがあります。
統計的に正しいのかはわかりませんが、産創館で起業支援をしている経験からは、感覚的に正しいように思います。
会社や個人事業を立ち上げるのは、許認可が必要な業種は別として、手続きだけの話であれば、誰でもすぐに始めることができます。会社であれば法務局に登記して税務署へ届け出を出し、個人事業であれば税務署へ届け出を出せばいいのです。
しかし、事業である以上、収益を上げなければ事業は継続できません。結局、多くの事業が消えていくということは、多くの起業家は収益を上げるところまで事業を持っていけない、ということなのです。
つまり、起業しても予想通りに収益が上がらない可能性が大いにある、ということです。
例えば、世の中に存在しないような新たなビジネスモデルの場合、参考にする先行事例がなく、顧客もゼロから作っていくということであれば、最悪の場合、収益ゼロがずっと続く可能性があるということです。
ただし、成功する可能性もあるわけで、そこは起業家のアニマルスピリッツで自己責任で判断する他なく、チャレンジすることを否定するものではありません。
それではどうすればよいかというと、まずは事業計画書の数値計画(売上計画・資金計画・資金繰り計画)について、標準ケースと最悪ケースの2つを作り、事業を客観的に把握することが大切です。
事業計画は将来に関するものですので、予想する他ありません。数値計画は、鉛筆をなめればどんな夢のような数字も作り上げることが可能ですが、先ほどの例のように全く新たなビジネスモデルの場合、それこそ売上がいつまでもゼロ、ということがないとは言えないのです。
そういうことを自分で把握した上で、事業をどう進めていくのかを考えることが大切ですし、方向転換が選択肢になることもあります。
なお、最悪ケースの事業計画書は基本的には自分で持っておくものであり、金融機関や投資家などの外部に出すことが目的ではありませんので、使い方には注意しましょう。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 仁史が担当しました。
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(2014年9月10日公開)
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