最近、有名企業の不祥事に関するニュースをよく聞きます。
経営トップ自らが不祥事の容疑で逮捕される事件が多発しています。
例えば、大手飲食チェーンの社長が、前職の同業企業から営業秘密を持ち出した容疑、スーツの行商から身を起こし、紳士服の一大チェーンを創業したカリスマ経営者のワイロ容疑などです。
また製造業では、大手自動車メーカーのエンジン性能試験不正・データ偽装、大手電機メーカーによる検査データ偽装といった、メイドインジャパンの信頼性を根本から揺るがすような品質上の不正が発覚しています。そのほか、大手証券会社の経営陣・幹部による株価操作など高い倫理観が求められる金融機関の不祥事もありました。
人として正しい事業活動ですか?
こうした有名企業の多くは、当然ながら経営理念を制定し、コンプライアンスの徹底を謳い、不祥事が見つかった場合の通報窓口も整備されています。
にもかかわらず、会社によっては不祥事が長年にわたって無自覚に繰り返された結果、今まで培ってきたブランドが大きく傷つき、多大な損失が発生してしまいました。いったん失った信頼を回復するには長い時間がかかります。
2000年代に度重なる不祥事でブランド力が地に落ちた自動車メーカーについて、いまだに日本での販売が回復しないことを考えると、不祥事は取り返しがつかないと思わざるを得ないのです。
こうした不祥事は、今や法令違反さえしなければよい、という話ではなくなっています。
法令は遵守しているが、人として、倫理的な観点から見てどうか、というような行為も、会社の信頼を失わせます。
お年寄りをターゲットに投資信託を不適切に販売していた公共性の高い会社は、法令には違反していなくても世間から強く非難されました。倫理的な観点も含めたコンプライアンスがますます強く要求される世の中になってきているのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 が担当しました。
泉 仁史(いずみ ひとし)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 泉 仁史(いずみ ひとし)のプロフィール
(2022年10月26日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ