ネットや新聞の記事を見ていると、大企業の不祥事がよく報道されています。
風通しのよいコミュニケーションが大切
事例を挙げるときりがありませんが、特に日本が得意としてきたものづくりの分野で、品質に関するデータ改ざんなど、日本のトップメーカーの不祥事が続いている印象です。不祥事の背景は各社様々あろうかと思いますが、競争の激しい事業環境を勝ち抜くために、現場の実力以上の業務目標が掲げられ、それを現場は「できない」と言えず、データ改ざん等の不正に手を出してしまうケースもあるようです。
したがって、できもしない目標設定が不祥事の一因として考えられます。
よくあるパターンとしては、目標設定の際に、経営層と現場の十分なすり合わせが行われず、経営層の意向がトップダウンでそのまま目標として設定され、現場が不正に手を染めるケースです。不都合な情報が経営陣に上がっていかない、ワンマン社長のいる会社で起こりがちな不祥事であり、不祥事が発覚した際には、「現場がやったことで、経営陣は知らなかった」ということになります。しかし、こうした現場にしわ寄せがいく経営は、現場が疲弊するため、いずれ立ち行かなくなります。
それではどうすればよいか、ということですが、不都合な情報を経営陣・現場で共有し、お互いに知恵を出し合って、実現可能な目標設定を行い、それに向かって経営陣・現場で協力しながら行動を起こしていくという、チームワークの風土・文化を醸成することが重要になります。
一方で、不都合な情報を、自分の人事権を握っている上司や経営陣に喜んで報告する人などいません。しかし、不都合な情報に気づいた人が、声を上げることができなければ、いずれ大きな不祥事が発生し、長年築いてきた会社の信用・ブランドをつぶすことになりかねないのです。したがって、会社の風土・文化に最も影響力を有する経営陣は、不都合な情報を報告してきた部下達に「ありがとう」と感謝し、風通しのよいコミュニケーションを促進しなければならないのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
▼泉 仁史(いずみ ひとし)へのご相談(面談)
(2024年11月13日公開)
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