第96回 整理解雇を決断する前に経営者が行うべき努力とは|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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整理解雇を決断する前に経営者が行うべき努力とは

  • 解雇を避ける努力が必要
  • 努力はそのときの事情による
  • 努力なしでは認められない

こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。

経営状況が思わしくないとき、「全員で共倒れ」か「人員を減らして立直し」の選択に迷うこともあるかもしれません。
整理解雇を決断する前に、経営者にはやらなければならない努力があります。

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解雇を避ける努力が必要

整理解雇が有効と認められる要件のひとつに、「解雇回避努力義務」があります。 「まずはできる限り解雇を避けるための、経営努力を行わなければならない」ということです。

なぜなら整理解雇は事業の縮小や部門閉鎖をはじめとして、事業の継続が難しいから行われる、人員整理だからです。あくまでも会社の事情によるものだということですね。

では「解雇回避努力」には、どのようなものがあるのでしょうか。
一般的に、

  1. 残業時間の削減や労働時間の短縮
  2. 昇給の停止
  3. 賞与の削減
  4. 新規採用の中止
  5. 配転・出向
  6. 希望退職者の募集

などが挙げられます。

もちろん人員を削る必要性とその緊急性の度合いを考えなければなりませんが、まだ会社に雇用を維持できる余力がある場合は、できる限り上記のような努力が必要です。

努力はそのときの事情による

たとえまだ余力があったとしても、次のような場合はどうでしょうか。

【事例】介護事業所の給食サービス
  • 経営不振、特に給食部門が不採算のため廃止したい
  • 専門職として採用した調理師の配転を考えなければならない
  • 営業職であれば受け入れが可能

職務内容を考えると、現実的には配転はなかなかハードルが高そうです。

このような事情で配転するにふさわしい職務がないときまでも、雇用の維持が求められるわけではありません。

努力なしでは認められない

つまり、解雇を回避するための努力をまったく考えずに、いきなり整理解雇を行った場合、「解雇回避努力を尽くした」と判断されないことが多いようです(判例によります)。

けれど特別な事情から「解雇回避努力」をとっていない場合まで、整理解雇が無効になるわけではありません。

企業の経営状況、規模、社員の構成など具体的な事情を踏まえたうえで、決定されるところがポイントとなります。

スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。

(2016年7月13日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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