経営相談室の東です。
8月に入りますます暑さも厳しくなりました。「危険な暑さ」という言葉を天気予報で毎日のように聞くようになりましたが、決して大げさな表現ではないことを実感します。熱中症などに気を付けて酷暑を乗り切りましょう。
心理的安全性と経営ビジョンは両輪!
さて、2年前のブログで取り上げた「心理的安全性」。いまでは日常的な会話の中でもしばしば耳にすることが増えてきました。
心理的安全性とは、「会社や部署といったチームにおいて、その組織を構成するメンバーが思ったことを発言・行動しても対人関係を損なわないと信じている状態」をいいます。
心理的安全性が高い状態によって、不安を感じることなく発言できるので、個人は情報を積極的に発信するようになるため、コミュニケーションが図りやすくなるというメリットがあります。
一方で、「この不安を感じることなく発言できる」ことが曲解されているケースが見受けられます。
「何でも言い合える」「何を言っても受け入れられる」といった心理的安全性の高い環境は、確かに不安がなくて、言いたいことが言えるというのはいいのですが、気になる話をある社長から聞きました。
それは、入社歴の浅い社員の方がいろいろな提案をしてはくれるが、採用に至る内容ではないので否決をしていたら、「何を提案してもこの会社は受け入れてくれない、この会社は心理的安全性が低い。」と言われたそうです。
実は心理的安全性が高いだけでは、成果を出す組織にはつながりません。組織が何のために存在し、何をめざすのかという経営ビジョンが明確にあることが重要です。
経営ビジョンを実現するために、対立を恐れずに率直な意見が言い合えることによって、成果につなげていくことができるため、「何でも言い合える」「何を言っても受け入れられる」という心理的安全性を高めるだけでは、単なる仲良しクラブ、もしくは、ぬるま湯組織になりかねません。
先の事例も、自分の意見を受け入れてもらえることが心理的安全性が高いことだと解釈されている社員の側にも誤解はありますが、そもそも経営者が経営ビジョンを明確にしておらず、双方で何をめざすかが握れていなければ、的外れな提案になり、結果、会社側が受け入れられなかったのではないかということが考えられます。
心理的安全性も重要ですが、自社の経営ビジョンの明確化と共有がともなわなければなりません。
今一度、経営ビジョンが明確になっているか確認してみてください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 東が担当しました。
▼東 純子(あずま じゅんこ)へのご相談(面談)
(2024年8月14日公開)
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