大学の高度な知見と事業者のノウハウを活かして新たなビジネスを生み出すために、産学連携が行われることがあります。たまに産学連携の相談を受けますが、事業者同士の提携とは異なる難しさを感じます。
まず、連携の基本的な枠組みとして、パートナーは共通の目標を持つことが必要となります。
事業者同士の場合、お互いに収益を上げることが目標となります。しかし、産学連携の場合、大学側は論文を書くことが目標となるなど、事業者の目標と食い違うことがでてきます。
それでは、こうした食い違いを埋めるにはどうすればよいかというと、しっかりとコミュニケーションをとることが必要になります。しかしコミュニケーションについても、うまくいかないことがよくあります。理由として、事業者側が大学教授に対して遠慮があったり、大学側がビジネスに対する経験が乏しいことから、事業者側が当然と思っているビジネスの約束事や常識が大学側と共有できず、認識がずれてしまう、といったことがあるように感じます。
したがって、事業者も大学もお互いに相手の事情をよくわかっておらず、相手は自分たちとは異質であることを前提に、丁寧かつ積極的にコミュニケーションをとる努力をし、合意したことを契約書に落とし込んでおくことが大切です。
異質な者が協力するからこそ、新規性のある事業が生まれます。産学連携を成功させるためには、違いを乗り越えるコミュニケーション力が必要なのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 が担当しました。
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(2019年9月4日公開)
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