8月下旬に生まれて初めてアメリカで「ホームステイ」をしました。
高校生や大学生ではなく、42歳のおっさんを受け入れてくれた現地のホストファミリーにはとても感謝しています。
ホームステイの目的は、①英会話のスキルアップ、②異文化体験、そして③アメリカを含め世界に通用するビジネスアイデアの発見、この3つでしたが、今回はホームステイを通じて自分なりに感じたことをお伝えしたいと思います。
まず、日本人が考えるきめの細かなサービスや商品、いわゆる「お・も・て・な・し」の発想を起点としたビジネスは、外国では不足していると感じました。
一例にはならないかもしれませんが、例えば空港での「入国審査」。アメリカと日本とでは異なるところがありました。
アメリカの場合、もちろん9・11のテロ以降、審査が厳格になったことは否定できないでしょうが、いくら多くの入国者が並んで窓口が混雑したとしても、審査官の作業はマイペース。
また臨時的に窓口を増やすなどの応援体制も敷かれることもなく待っている人たちはイライラするばかりでした。
一方、日本では臨時的に窓口を増やしたり、混雑していない窓口に人を誘導したり、作業をスムーズに運ばせるために予め準備してもらいたいことを何回もアナウンスしたり、待っている人の気持ちをくみ取った配慮がなされていました。
日本では当たり前と思うような「相手(顧客)への配慮」が、外国ではいろんな場面でありませんでした。ここは1つのビジネスの糸口になるかも知れません。
今回滞在したホストファミリーのご主人さんは、世界最大手の自動車メーカーに勤め、ある車種の技術リーダーをしておられました。
そこで、私は彼に「日本ではプリウスなど『ハイブリッドシステム』を搭載した車や軽自動車がよく売れているが、アメリカでは燃費性能の良い車は開発していないのか?」と聞きました。
彼からの返答はこうでした。「日本とは違った仕組みで燃費性能の良い車を開発しているが、価格が非常に高くなる。だから高級車ラインにしか搭載していない。アメリカでは燃費性能よりも大きくて壊れにくく、しかもカッコイイ車が求められるんだ」と。
確かに、アメリカ人は日本人と比べ体格は大きいですし、土地もあるから道も広く信号もあまりないし、日本のような車検制度もありません。そして最も衝撃的なのはガソリン代が安いことです。(アメリカでは約90円/リットルでガソリンが売られていました。)
アメリカのような「持てる国」は違うなぁと感心しつつも、現地の事情によって人の考え方や価値観は異なるのだと改めて認識しました。
そしてこれはビジネスにおいても重要な要素で、日本の価値観が必ずしも世界で通用するとは限らないことを理解したうえで、現地の状況等に合わせる柔軟な対応が必要であると思いました。
たった9日間という短い滞在期間でしたが、それでも新たな発見や学びがあったホームステイ生活でした。
このような経験はもっと若いうちにしておくべきだったと後悔しつつも、いくつになってもチャレンジする気持ちとそれを行動に移す勇気さえあれば、望む結果は必ず得られることを、本当に少しですが体感できたと思っています。
「井の中の蛙、大海を知らず」ではもったいないです。世界でビジネスをしたいと考えている人はもちろん、国内でビジネスをするにしても、世界の動きや様々な価値観に触れたうえで「自分はこうする」と判断していくことは、とても大切だと思います。
経営相談室 スタッフコンサルタント 中田 英智が担当しました。
(2014年9月17日公開)
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