第434回 人手不足はさらに加速。だけど求人広告は慎重に!|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

なかのひと
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人手不足はさらに加速。だけど求人広告は慎重に!

  • 緊急時対応から回復成長フェーズへ
  • 有効求人倍率≒中小事業者の求人倍率
  • 無料求人広告トラブルには注意!

緊急時対応から回復成長フェーズへ

みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
早くも5月後半ですね。暖かいを通り越して暑い日が増えてきました。

タダより高いものはない・・・

タダより高いものはない・・・

コロナ禍で雇用維持の切り札となっていた雇用調整助成金の特例措置や緊急雇用安定助成金が、令和5年3月31日をもって終了しました。代わって、令和5年4月1日から新たに「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」が創設されました。
これは、経済産業省が実施している「事業再構築補助金」の交付決定を受けている事業主を対象とした、人材確保を支援する助成金です。助成要件を見る限り、利用できる事業者は少ないと思われますが、人材に関する支援策も「事業の維持継続・失業回避」から「事業の回復成長・雇用創出」に大きく舵を切っている様子がうかがわれます。厚生労働省の発表によると、令和4年度平均の有効求人倍率は1.31倍で、令和3年度平均と比べて0.15ポイント上昇しました。これは、コロナ禍前の平成27年~28年ごろと同水準です。月別の有効求人倍率をみると、令和4年12月をピークにやや下降基調ではありますが、人手不足感がいよいよ強まってきた感があります。

有効求人倍率≒中小事業者の求人倍率

日々のご相談のなかでも、人に関するご相談は非常に多く、特に多いのが「求人を出しても応募がない」というご相談です。有効求人倍率が上がってきているので、当然といえば当然なのですが、その一方で、リストラや早期退職が実施された、といったニュースを目にします。一見、真逆の話のようですが、厚生労働省の統計調査「産業、規模別新規求人数」と「有効求人倍率」の関係を調べてみると、そのからくりが見えてきます。
下記のグラフは、折れ線グラフが有効求人倍率、棒グラフが人員数別での事業所規模別新規求人数です。事業所規模が大きくなればなるほど、有効求人倍率との相関がみられず、新規求人数そのものも少なくなっています。つまり、大企業の人材ニーズは有効求人倍率に影響されずほぼ一定で概ね満たされている、と考えられます。


※「職業安定業務統計」(厚生労働省)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1b.html )を加工して作成

回復成長フェーズに加え、少子高齢化による働き手不足が加速することで、今後はさらに人手不足になることが予想されます。中小事業者にとっては、人手確保のハードルがさらに上がってしまう・・・といえそうです。

無料求人広告トラブルには注意!

このような状況もあってか、最近増えているトラブル相談が「無料の求人広告に掲載しないか、という営業を受けてサインしてしまい、その後有料契約に切り替わったと言われて料金を請求された」というもの。無料期間終了後に自動で有料契約になることを知らなかった、無料期間に解約を申し出ようとしたが相手先企業に連絡が取れず請求書が送られてきたなど、パターンはいくつかあります。ご相談の際に多くの事業者様が訴えられるのは、「求人がうまくいかず、少しでも状況を打開できればと思って申し込んでしまった」といった内容です。もし、「今まさにその状況で困っている!」という事業者様がおられましたら、下記のよくある経営・法律相談をご参考いただきたいと思います。
【よくある経営・法律相談】
<無料求人広告を申し込んだのに有料と言われ料金を請求された>
<無料の求人広告で多額の費用を請求されています。どうしたらいいですか。>

「無料」といわれると、ちょっと気持ちが揺らいでしまうもの。ですが、おいしそうに見える話には、だいたい裏があるものです。
ただでさえ人手不足の中、人を確保したくて求人を出しているはずなのに、トラブルに巻き込まれて本業に割ける時間がさらに減る・・・。
こんなことにならないように、契約書にサインするときには、ぜひ慎重に!

経営相談室 スタッフコンサルタント 高松が担当しました。

高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィール

(2023年5月24日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

06-6264-9820
(9:00~17:30※土日祝除く)