2021年のNHK大河ドラマは、日本資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一の生涯を描いた「青天を衝け」が放送されています。私も毎週欠かさず視聴しています。皆さんはご覧になっていますか?
渋沢栄一の生き方は今でも新鮮に感じる
渋沢栄一は皆さん御存知の通り、「みずほ銀行」の前身である「第一国立銀行」を立ち上げたほか、その生涯で500もの企業に関わったといわれています。そして、その企業経営に関する姿勢を表す有名な著作が「論語と算盤」です。
事業の主たる目的は利益を出すことですが、自社の利益を追求する(算盤)だけではなく自社が属する業界の発展に貢献する(論語)等の考え方が大切、という意味ですね。
事業は自社のみ一社だけでは成り立ちません。商品がエンドユーザの手元に届くまでも、「企画する」「作る」「在庫する」「運ぶ」等の活動が必要になります。これらの活動に携わる事業者がそれぞれ適正な利潤を得て事業は成り立ちます。
そのためには相手の立場を慮る「利他」の精神が必要になります。自社の主張をするだけでなく、取引相手の言うことにも耳を傾け、取引をするうえで、お互いが納得できる妥協点を探らねばなりません。
しかし、具体的な事業活動が中々進まないことは問題です。事業は市場の支持を得て、競合社に打ち勝って成り立ちます。そのためには、「利他」だけではなく、具体的な市場調査、商品調達、営業活動などが必要になります。
具体的な事業活動は、自分の想い通りにならないことが山のように発生します。商品のプレゼンテーションひとつをとっても、すんなりと成約につながることはまずありません。商談の現場では、他社製品のほうが、「品質が良い」「安い」「短納期・小ロットでデリバリーできる」等の言葉が返ってきます。
市場の厳しい要求に打ち勝って成約に結び付ける行動はつらいことも多いのです。しかし、このつらさを乗り越えて初めて利益が出る、つまり「算盤が合う」のです。
大阪産業創造館をご利用いただいている事業者のみなさまには、取引事業者の支持を集める「利他の精神」と「利潤を追求する行動力」の両方を磨いていただきたいと思います。
経営相談室 スタッフコンサルタント 森 が担当しました。
(2021年6月23日公開)
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