みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
先日閉幕した世界陸上オレゴン大会。スタジアムには観客が入り、マラソンでは沿道に多数の応援。日本では、新型コロナウイルス感染症の第7波も懸念されている状況ですが、世界はすっかり平常運転?…と感じました。
人手は多くても少なくても問題。。。
今回は、日本も平常運転の兆しが出てきた最近の雇用環境について取り上げます。
2020年4月から始まった新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例制度。上限額の変更など細かな制度変更はありましたが、2022年9月30日までは特例延長が決まっています。
厚生労働省のHPには、これまでの支給件数や支給額の実績が掲載されています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)。
それによると、支給申請件数(緊急雇用安定助成金含む)は令和2年度が3,078,648件、令和3年度が3,120,860件、令和4年度(令和4年4月1日~7月15日)が673,261件となっています。比較のため週次ベースに換算すると、令和2年度が59,205件、令和3年度が60,017件、令和4年度(令和4年4月1日~7月15日)が44,884件なので、今年度に入ってから支給申請をする事業者は減少していると言えます。
これと併せて、有効求人倍率の推移を見てみます。
2022年7月1日に公表された一般職業紹介状況(令和4年5月分)を見ると、有効求人倍率は緩やかですが確実に上昇基調となっています(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26279.html)。
コロナ禍で急激に悪化した雇用環境ですが、2022年5月の有効求人倍率は1.24倍まで上昇しており、調査結果を見る限りは「人手不足」といえる状況になっています。
求人数ベースで見ても、2021年5月以降、有効求人数は前年同月を上回っています。
雇用調整助成金を利用して雇用を維持する企業がある一方、人手不足で求人を出す企業が増えている。最近の雇用状況は、二極化が進んでいるようです。
日本の雇用環境は、長期的には人材不足が予想されています。
総務省の「令和2年版情報通信白書(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd121220.html)」によると、生産年齢人口割合(全人口に占める15歳から64歳の人口割合)は2020年には59.1%ですが、2055年には51.6%にまで減少すると見込まれています。
7.5ポイントダウンということ自体、かなり大変な話ですが、この間、日本全体の人口は減少基調です。人数ベースでみると、2020年の生産年齢人口は7,406万人ですが、2055年には5,028万人、なんと2,378万人の減少と予想されています。
これまでも女性活躍やシニア人材の登用など、人手不足を補う施策がいろいろと打ち出されてきました。その結果、女性の就業率の課題であった「M字カーブ」は解消されつつあり、65歳以上の就業率も9年連続で上昇しています。
この先は、「正社員・フルタイムで働く現役世代」だけでなく、あらゆる人材が不足していくことが予想されます。
業務を見直すことによってムダをなくすと同時に、女性やシニア、障がい者や外国人といったあらゆる人材が働きやすい環境整備を進めることが求められます。
具体的にどうすればいいのか?自社の環境は整っているのか?といったお悩みがあれば、ぜひ専門家相談をご利用ください。
経営相談室 スタッフコンサルタント 高松 が担当しました。
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(2022年8月3日公開)
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