第125回 退職が決まっている社員の年休を減らしたい|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

なかのひと
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

退職が決まっている社員の年休を減らしたい

  • 退職が決まっているなら年休を減らしても問題ないか
  • 仕事に支障がなければ年休取得は可能
  • 年休の発生要件と本来の目的は

こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。

毎年4月1日に年次有給休暇を一斉に付与している会社も多いのではないでしょうか。

退職が決まっている社員の年休を減らしたい退職が決まっている社員の年休を減らしたい

4月1日の時点で、たとえば転職のために7月末日で退職予定の社員がいるとき。
「この社員にも20日なら20日、年次有給休暇をフルで付与する必要はあるのか?
3か月後には退職するのに・・・
在職期間が他の社員より短くなる分、年休を案分して与えてもいいのでは?

こんなご相談をいただくことがあります。

仕事に支障がなければ年休取得は可能

このケースのように、4月1日に年次有給休暇が付与される場合、7月末日に退職するのなら、通常通り付与される年次有給休暇の3分の1を付与すればいいのではないか、と考えてしまうかもしれませんね。

けれど年次有給休暇は権利発生の日(この場合は4月1日)から、1年間で等分に取得しなければいけないわけではありません。

その年度中にすべて取得することもあれば、次年度に持ち越して取得することもありえます。

極端なことを言ってしまえば、会社の事業の正常な運営を妨げる時季でないのなら、年休権が発生した4月1日その日に、全部取得することも可能なわけです。

年休の発生要件と本来の目的は

年次有給休暇は、一定期間継続勤務し、全労働日(労働協約、就業規則等で労働日として定められた日のこと。一般的に「365日(うるう年は366日)-所定休日」となります)の8割以上出勤すれば、取得する権利が発生します。

よって退職することがわかっているからといって、在職期間が短くなる分に応じて、年次有給休暇を案分して付与することはできません。
「7月に辞めるんだから年休を取ってはダメ!」など取得を制限してもいけません。

そもそも年次有給休暇は、社員の心身の疲労をリフレッシュさせ、働くエネルギーをまた新たにチャージさせることが目的です。そうすることでゆとりのある生活の実現につなげるために付与することが規定されています。

ですから、退職予定の社員と年次有給休暇の買い上げを約束し、本来であればその社員が請求できる年次有給休暇日数を減らしたり、請求された日数を与えないことも禁じられています(法定日数を超えて与えられている有給休暇日数分については、買い上げは禁止されていません)。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。

(2017年3月1日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

06-6264-9820
(9:00~17:30※土日祝除く)