第541回 職場における熱中症対策の義務化|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

職場における熱中症対策の義務化

  • 義務化の背景と対象となる作業
  • 事業者に求められる対応
  • 罰則とリスク

義務化の背景と対象となる作業

7月に入りいよいよ夏本番となりました。私は海が大好きですので楽しみな季節となりましたが、暑さに対するリスクも考える必要がありますね。

熱中症には十分に注意しましょう!!

熱中症には十分に注意しましょう!!

2025年6月1日より、労働安全衛生規則が改正され、職場における熱中症対策が罰則付きで義務化されました。義務化の背景には下記のことが挙げられます。

・熱中症災害の増加
地球温暖化の影響もあり、職場における熱中症の災害発生状況が令和3年度以降増加傾向となり、令和5年の死傷者数が1100人を越え、死亡災害も2年連続で30人レベルに達しました。(※1)

・放置・対応の遅れ
令和2年~5年の熱中症死亡災害の分析結果では、103件中100件で初期症状の放置や対応の遅れがあったとされています。(※2)

・義務化の対象となる作業
義務化の対象となるのは「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業です。(※3)

事業者に求められる対応

今回の改正で熱中症のおそれがある従業員を早期に見つけ、その状況に応じて迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するために、事業者に以下のことが義務付けられました

・体制整備
熱中症のリスクがある作業を行う際に、自覚症状がある従業員や、熱中症の恐れがある従業員に気づいた人が、スムーズに報告できる体制を構築すること。

・手順作成
熱中症の症状悪化を防ぐための、作業中止、休憩、冷却、水分補給、緊急連絡、医療機関への搬送などの手順を事業所ごとに定めること。

・関係者への周知
熱中症の早期発見・報告体制や症状悪化防止措置の実施手順を関係する従業員に周知すること。

罰則とリスク

本改正により事業者に対する罰則が設けられ、事業者が対策を怠った場合には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、従業員が就業中に労働災害にあった場合、事業者には安全配慮義務を怠ったとして、従業員から高額な損害賠償を請求されたり、行政から指導や勧告を受けたりするなどのさまざまなリスクがあります。

従業員の死亡や治療費、事業者が負う損害賠償などのリスクには損害保険会社の業務災害補償保険などで補償できる可能性もあるため、この機会に現在ご加入の保険内容の確認をしてはいかがか。

当館では、7月24日に今回のテーマに関連するセミナーを開催しますので、興味がある方はぜひお申込みください。

「経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました

(※1)出典:厚生労働省 職場における熱中症予防情報(職場でおこる熱中症)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/heatstroke/

(※2)(※3)出典:厚生労働省 職場における熱中症予防情報(パンフレット「職場における熱中症対策の強化について」)
https://neccyusho.mhlw.go.jp/

▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)

(2025年7月2日公開)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大阪産業創造館 経営相談室

06-6264-9820
(9:00~17:30※土日祝除く)