第214回 生産性向上に向けた組織運営を考える|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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生産性向上に向けた組織運営を考える

  • 個人単位の生産性向上
  • チーム単位の生産性向上
  • 組織単位の生産性向上

個人単位の生産性向上

みなさん、こんにちは。スタッフコンサルタントの東です。
早いものでもう12月、今年もあとわずかですね。

個人と組織の両面から生産性向上を!

さて、最近「生産性向上」という言葉を頻繁に目にします。
いろいろな角度から生産性を向上させるための取り組みがあると思いますが、組織を構成する従業員個人、チーム、組織全体といったそれぞれの単位で取り組むべきことをまとめてみました。

まず最初に実際に職務に従事する従業員個人単位で生産性を向上させるには、次の3つがポイントになります。

担当職務の効率化:マニュアル化による作業の効率化、やるべき仕事の取捨選択と優先順位付けなど
技術習得:時間短縮・専門技術・課題解決力などの習得、自己管理の強化など
集中力向上:プライベートで使用するスマートフォンの管理、仮眠など

会社としては、担当業務が効率よく運営されているかの情報収集や事例共有、技術習得の機会提供、健康な状態を維持することで集中力を向上させるために健康経営を意識するなどの取り組みが考えられます。

チーム単位の生産性向上

仕事は一つの目的達成のために、複数名がチーム(部署、部門)となって、担当する役割をそれぞれに発揮しながら業務に取り組むことが必要となります。

米グーグル社が2012年に開始した「プロジェクトアリストテレス」という労働改革プロジェクトの発表によると、 例え社員一人ひとりがどんなにハイパフォーマーであっても、チーム内で連携がとれていなければ、非生産的な行動をしてしまいがちであり、必ずしも優秀な人ばかりで組成されたチームが成果を出すとは限らないとし、重要なのは、「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素と定義づけました。

成功するチームでは、次の5つの項目が非常に上手くいっているという共通点があります。

心理的安全性(Psychological safety) …不安や恥ずかしさを感じることなくリスクある行動を取ることができるか
信頼性(Dependability) …限りある時間を有効に使うため、互いに信頼して仕事を任せ合う
構造と明瞭さ(Structure & clarity)…チーム目標や役割分担、実行計画は明瞭であるか
仕事の意味(Meaning of work)…メンバー一人ひとりが自分に与えられた役割に対して意味を見出すことができるか
仕事のインパクト(Impact of work)…自分の仕事が組織内や社会全体に対して影響力を持つと感じられるか

この中でも心理的安全性は組織にとって、最も重要で他の4つの要素を支える土台としています。

各チームが円滑に機能することが組織全体に波及するため、うまくいっているチームの要諦に基づいてチームが運営されているかがポイントです。

組織単位の生産性向上

チームの集合体である組織全体で適正な運営をするには、組織的な取り決めを行っておかなければなりません。それには次の3つの切り口があります。

情報共有:定期的な報告・チェック項目整備、必要な情報が適切なタイミングで見られる仕組みづくり及びそのための情報システム環境の構築など
意思決定:規模に応じた管理体制、適切な会議運用、役割に応じた意思決定など
組織風土:円滑に報告・連絡・相談によって共有化できる風土作り、社内外の環境や情勢の変化を感じ取る情報感度の醸成

個人がそれぞれにポテンシャルを発揮しながら、チーム及び組織単位の集合体となったときにどのような運営が行われるかも「生産性向上」に大きく影響します。

みなさんの職場ではそれぞれがしっかりと機能しているか確認してみてくださいね。

経営相談室 スタッフコンサルタント 東 が担当しました。

▼東 純子(あずま じゅんこ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 東 純子(あずま じゅんこ )のプロフィール

(2018年12月5日公開)

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