先日、40~50代の管理職の人たちと話をする機会がありました。ある女性管理職は「自分の子どもと同じくらいの若い社員に、どう接したらいいのかわからない。個人的なことを聞くのはよくないと言われているので、本当は色々とお話ししたいけど、話しかけることができない」と言い、それを聞いていた周囲の人たちもうなずいていました。管理職は、コミュニケーションを駆使して部下を引っ張っていくことが求められているにもかかわらず、萎縮して若い部下とのコミュニケーション自体に躊躇していることに、強い衝撃を受けました。
管理職のコミュ力が今求められています!
今の管理職と新入社員の間には20~40年のギャップが存在します。その間、世の中は急激に変化し、上司・部下の関係も大きく変わりました。少子高齢化で若い人たちが少なくなる中、IT化・DX化に対応するために、デジタルに強い若い世代がますます貴重になっており、IT面では上司と部下のスキルが逆転しています。また、今まで管理職の人たちが普通と思っていたコミュニケーションが「ハラスメント」と言われ、挙句の果てには「老害」などと言われかねない世の中になり、今の管理職世代にとっては、本当にやりにくい世の中になったものだと思ってしまいます。
管理職の人たちが若い人たちとうまくコミュニケーションができない要因として、上司・部下間の上下意識があるように思います。残念ながら、自分の方が年齢や仕事上の経験が上だからといって、ITスキルも上であるとは限りません。また、若い人たちのトレンドに関連する商品開発などでは、若い人たちの方が向いていることもあります。
先日、ある大手化粧品会社で、若手社員が幹部の先生役になって、先端のデジタル技術や消費トレンドを教える「リバースメンタリング」を始めた、という新聞記事を読みました。リバースメンタリングとは、若手社員と先輩社員の立場を逆転し、若手社員が先輩社員に助言を行う教育支援制度のことです。こうした管理職と若手のコミュニケーションの仕組みを作ることは、コミュニケーションが促進されると共に、お互いにリスペクトするような、フラットな関係を構築することに役立つように思います。
また、お互いに一緒に仕事をしていると、その人自身に興味を持つことも自然な感情でしょう。でも何をしゃべればいいだろうと悩む時は、心理学を参考にするのも一つの手です。人間は相手の好意に対して「お返ししたい」という心理が働くそうです。これを「返報性の原理」といいます。まず、管理職の方が、自分の個人的な情報を開示します。自分の休日の過ごし方なんかを話してみると、ひょっとすると相手も趣味のことなどを話してくれるかもしれません。
一度試してみてはいかがでしょうか。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
泉 仁史(いずみ ひとし)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2023年12月20日公開)
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