みなさん、こんにちは。
大阪産業創造館 経営相談室の岡島です。
法人成りするタイミングは?
前回までは、個人事業主と法人の違いや選び方についてお伝えさせて頂きました。
その上で、個人事業主からはじめようと決めた方も多いと思います。
そこで、個人事業主からはじめた場合に、どのタイミングで法人成りするのかを考える上で重要なポイントがあります。
それが、消費税の問題です。
消費税には、原則課税と簡易課税があり、原則課税は、課税売上の消費税額(預かった消費税額)から、課税仕入等の消費税額(支払った消費税額)を差し引いて納付消費税額を求める原則的な方法で、一般課税ともいわれます。
それに対して、課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
業種ごとに決められた、みなし仕入れ率を用いて、支払い消費税を簡易に計算する制度です。
簡易課税制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
消費税が10%となった現状からいくと、経営に影響する支出になるのは間違いありません。
なぜ、この消費税が法人成りのタイミングに影響するのかというと、消費税の免税・課税事業者の制度があるためです。
通常預かった消費税は、納めなくてはいけません。
これを課税事業者といいます。
それに対して、消費税の納税義務が免除される事業者を免税事業者といいます。
この納税の義務が免除される事業者の判定は、前々事業年度における課税売上高が1,000万円以下であることが基準です。
そのため、1期目及び2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。
しかし、以下の場合は、納税義務は免除されませんのでご注意を。
・その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)
における課税売上高が1,000万円を超えた場合。但し特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
・その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である
・特定新規設立法人に該当する場合
※特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
ということは、個人事業主でスタートして、課税事業者になるタイミングで、法人成りすることで、更に2年間免税事業者となる可能性もあります。
個人事業主で課税事業者になったからといって、直ちに法人成りする必要はありませんが、法人成りを検討する1つのタイミングとして、税理士に相談するなどして総合的に判断してください。
経営相談室では、税理士への相談も無料でご利用いただけます。
経営相談室 スタッフコンサルタント 岡島 が担当しました。
岡島 卓也(おかじま たくや)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 岡島 卓也(おかじま たくや)のプロフィール
(2021年1月6日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ