第208回 従業員意識調査からみえてくること|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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従業員意識調査からみえてくること

  • 従業員意識調査とは?
  • 従業員意識調査のメリット
  • 調査上の留意点

従業員意識調査とは?

みなさん、こんにちは。スタッフコンサルタントの東です。
10月も下旬に入り食欲の秋到来!楽しみが一段と増える時期ですね。

調査で従業員の本音を引き出してみては?

先日、ある経営者との面談で、従業員に対して会社に対する意識調査(モラール・サーベイ)を実施した結果、コミュニケーションが不足しているという結果が出てしまったとのこと。自分では従業員に対してコミュニケーションをとっている方であると思っていたのに、がっくりしたというお話を伺いました。

従業員の満足度(ES:Employee Satisfaction)は会社の生産性に直結すると言われており、その現状を把握するための「モラールサーベイ(従業員意識調査)」は、組織の中で社員がどんなことについて、どの程度満足し、どの程度の不満を持っているのかを科学的に調査する技法です。

従業員意識調査によるメリット

従業員の意識を調査することで主に下記のことが見えてきます。

1.就業に関する会社の問題点を客観的に把握できる
労働時間や賃金など、従業員の立場に基づいた就業に関する問題点を把握することができ、実態を反映した職場改善の方策を立てることができます。

2.会社が従業員の意見に耳を傾けることで帰属意識が高まる
調査を通じて、会社が従業員の声に耳を傾けようとする姿勢がメッセージとして伝わり、従業員の帰属意識を高めることにつながります。

3.コミュニケーションのきっかけとなる
普段の業務活動では従業員が問題点として抱えていることを意識的に吸い上げる機会がないと実態の把握が難しいですが、
調査を通じて経営者と従業員の両者が結果を共有することにより、コミュニケーションが促進されるきっかけになります。

また、調査結果を調査会社が蓄積している他社の結果と比較することで、客観的に自社の問題点を把握することもできます。

調査上の留意点

調査を実施する際は、下記の点に留意してください。
1.調査目的の明確化
何のために調査を行うのか、なぜ調査することが重要なのか、その目的と意義を理解してもらったうえで、社員の本音を引き出すことが調査の有効性を高めます
モラールサーベイは勤務時間中に仕事の手を止めて実施するため、目的が明確でない場合は有効な回答が得られない可能性があります。そのため、事前にモラールサーベイの重要性を伝え、目的意識を共有した上で回答を得ることが望ましいです。

2.匿名性の担保
経営者や上司、同僚たちに自分の回答を見られることに抵抗を抱くことも想定されます。匿名性や秘密保持を徹底することを示して、安心できる環境で回答を活用してもらえることを理解してもらうことで本音の引き出すことが求められます。

冒頭の会社のコミュニケーション不足は、情報共有の仕方に問題が潜んでいたようです。
例えば、社長自らがミーティングの運営を行っているため、社長の意見を聞いたあとでは従業員からの意見を出しにくいなどの問題点があることが見えてきました。

解決策のひとつとして、社長以外の人に進行役を担ってもらい、社長はできるだけ従業員の意見の引き出し役に徹してもらうようアドバイスをしました。

日常業務の中ではなかなか従業員の本音を引き出しにくいものですが、調査を活用することによって、従業員の満足につなげるために何が必要かを明らかにしてみませんか?

経営相談室 スタッフコンサルタント 東 が担当しました。

▼東 純子(あずま じゅんこ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
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(2018年10月24日公開)

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