第336回 ブランドの定義と作り方。注意すべきポイントとは?|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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ブランドの定義と作り方。注意すべきポイントとは?

  • ブランドとは
  • ブランドコンセプトの作成
  • ブランドを浸透させるには

ブランドとは

先日、実家に帰った時に、父親が車を買い替えていることに気づきました。
私が記憶しているだけでも5台目になりますが、すべて同じメーカーの指名買いだったので、理由を聞いてみたところ「スポーティで走りがいい」という回答でした。
そのメーカーは、父親に対してポジティブなブランディングができているようです。

自社のファンづくりを行いましょう!

自社のファンづくりを行いましょう!

今回は、そのブランディングについてお伝えしようと思います。

まずブランドの定義について、諸説あるかと思いますが、私は「自社のお客様に対して、価値ある商品・サービスを確実に提供する約束」だと思っています。
その「約束」が強固であれば、お客様は安心してその商品・サービスを購入することができます。

強いブランドには以下のようなメリットがあります。
・価格競争の回避
お客様には買い物で失敗したくないという心理があり、多少、価格が高くても「以前利用して満足している」、「周囲の評価が高い」、「よく知っている」など、安心できるブランドを選ぶ傾向があります。

・自社ブランドの指名買い
通常、商品・サービスを購入する時、複数の商品を比較して検討することが多いですが、自社ブランドのファンであると、他のブランドは候補として挙がらず、自社ブランドを指名買いしてくれます。

・口コミ効果
ファンは自分が気に入っているブランドを、周囲の人に勧めたり、SNSに投稿して自慢するなど、自社に代わって宣伝をしてくれます。

・新商品・サービスへの転用
すでに確立されたブランドを新商品・サービスに転用することで、一からブランドイメージを構築する労力を軽減することができます。

そのようにブランドには多くのメリットがありますが、どのように構築すればよいでしょうか?

ブランドコンセプトの作成

ブランドの定義は「自社のお客様に対して、価値ある商品・サービスを確実に提供する約束」であるとお伝えしました。
つまり、ブランドを構築するには、「自社のお客様とは誰か?」、「どのような価値を提供するのか?」といったコンセプトを固めて、ぶれることなく実直にその約束を果たすことが重要です。

①自社のお客様
自社のブランド価値を訴求したいお客様を特定します。
ここでは、顧客のニーズと自社の提供価値がマッチしている必要があります。
ターゲットを広げすぎると、それに合わせた広告予算を取る必要があったり、競合も多くなるため、中小企業の場合は、ニッチ分野に特化して、独自性を打ち出したほうがブランドイメージを形成しやすいでしょう。

②ブランド価値
提供する価値は大きく機能的価値と情緒的価値に分けることができます。

【機能的価値】
商品・サービスが持っている品質・機能面における価値で、速い、軽い、静かなど定量的に評価・比較しやすいのが特徴です。

【情緒的価値】
ヒトの感情に基づいた価値で、うれしい、楽しい、安心などがあります。
ヒトは感情で動く生き物ですから、ブランド形成では、情緒的価値のような感情面に訴えかける価値の重要性が高くなります。


ブランドを浸透させるには

お客様の頭の中に、自社のブランドイメージを浸透させるための活動をブランディングといいます。
お客様が商品・サービスを検討する時、真っ先に自社のブランドが頭の中に浮かび上がるようにすることが目的です。

お客様が自社のブランドをイメージしやすくするには、ブランド価値をシンプルに表すキャッチコピーが有効です。

例えば、「うまい、やすい、はやい」と言えば、吉野家を思い浮かべる方も多いかと思います。
それは吉野家がキャッチコピーを使って、みなさんの頭の中にブランドイメージを形成できているからです。

ブランドを構成する要素として、キャッチコピー以外にも「ブランド名」、「ロゴ」、「カラー」、「キャラクター」などがあり、それらを使ってお客様へのメッセージに統一感を持たせることで、ブランドを浸透させやすくなります

ブランディングの留意点として以下のような点が挙げられます。
①ブランド価値に反することはしない
ウェブサイトにはボリューム感のあるメニューが掲載されていても、実物はそれ程でもない場合、顧客に対してマイナスの印象を残すことになるでしょう。

②競合を分析する
吉野家の例のように、他社がすでに強固なブランドイメージを構築している場合、それを覆すのは難しいため、競合がどのようなブランディングを行っているか分析して、違うポジションで勝負しましょう。

③ブランドを浸透させるには時間がかかるが失うのは一瞬である
ブランド浸透は一朝一夕では難しいため、長期的な視点で構築する必要があります。しかし、お客様の信頼を裏切るようなことがあれば、一瞬でブランドイメージは毀損するため注意が必要です。

以上、ブランドを浸透させる方法をお伝えしましたが、ブランディングで一番重要な点は、なにより、顧客に対してぶれることなく実直に約束を果たすことです。
これを念頭にブランディングを行っていただければと思います。

ブランディングでお悩みでしたら、まずは、経営相談室にご相談ください。

経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口 が担当しました。

谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィール

(2021年5月26日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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