第328回 コロナ禍に合わせた事業展開。取り組み事例2。|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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コロナ禍に合わせた事業展開。取り組み事例2。

  • 和洋菓子店「たねや」の事例
  • たねやの改善内容
  • たねやから学ぶべきポイント

和洋菓子店「たねや」の事例

みなさん、こんにちは。経営相談室の谷口です。

前回のブログで「コロナ禍に合わせた事業展開。取り組み事例」というテーマでHISの多角化についてお伝えしました。

トップが行動を示せば社員も変わります

トップが行動を示せば社員も変わります

多角化戦略はお金も時間もかかるため、少しハードルが高いと感じる方に、今回は和洋菓子の老舗である「たねや」の事例をご紹介します。

「たねや」とは1872年に設立された老舗企業で、もともとは和菓子店でしたが、今は洋菓子の販売も行っています。

日本経済新聞によると、新型コロナウイルスの影響で売上高が一時、前年同期比で7割減少しましたが、2020年6月には前年並みに回復しました。

さて、どのように立て直したのでしょうか。

たねやの改善内容

売上が落ち込んだ時、まず社長は全社員で危機感を共有することで、事業内容の見直しを図りました。

具体的には社員に対して、業績は厳しくても一人も解雇するつもりはないと宣言し、月1回程度開催していたシェフとのミーティングをオンラインに切り替え、週1回開催に増やすなど、社員とのコミュニケーションの密度を高めました。

また、社長自身が先頭に立って、新たな販路開拓に奔走し、インスタグラムを活用し家庭でできるお菓子作りやたねやの生産現場を紹介するライブ配信を実施したり、百貨店主体の販路からコンビニへ新規開拓など、新たな取組を積極的に行いました。

社長の行動に影響され社員にも変化が起こり、若手シェフが中心となり通販向けの新商品を次々と開発したり、ドライブスルーでの商品提供といったアイデアが実現しました。

これらの取り組みは社員ひとりひとりがコロナ禍という環境において、「何ができるか」ということを考えぬいた末に生み出されたアイデアでした。

たねやから学ぶべきポイント

たねやの取組内容を見ると、お金や時間をかけなくてもできる工夫がうかがえます。

しかし、ここから学ぶべきポイントは、ひとつひとつのアイデアではなく、全社員で危機感を共有した上で、自分たちで今、何ができるかということを真剣に考え、そして、行動に移すということではないでしょうか?

そして、なにより社員に行動変容を促したのは、社長がトップに立って誰よりも汗をかき、改革を進めたことに社員が共感したことだと思います。

前回もお伝えした通り、行動にはリスクを伴いますが、今この環境下で何もしないという選択肢はさらにリスクを抱える可能性があります。

環境変化に応じて、どのような取り組みが効果的であるか、改めてご検討ください。

変革に向けた行動の必要性を感じながらも、どのように進めればよいか悩んでいる方がいらっしゃいましたら、まずは経営相談室にご相談ください。

経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口 が担当しました。

谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィール

(2021年3月24日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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