昨年38年ぶりに日本一に輝いた阪神タイガースの岡田監督は、今年の目標を「連覇」と明言しました。昨年は選手たちへのプレッシャーを考えて、「優勝」と言わず「アレ」と言い続けたことを考えると、岡田監督は「連覇」というあえてプレッシャーのかかる目標を明言し、さらにワンランクアップのチーム作りをめざすのでしょう。掛布・岡田・バース・真弓らを擁した38年前ですら、優勝の次の年には10ゲーム以上の差をつけられての3位だったことを考えると、連覇は簡単なことではありませんが、「球団史上初の連覇」を掲げることで、選手たちのモチベーションを高めようとしているのかもしれません。
阪神タイガース日本一の要因は目標設定
岡田監督の例を見てもわかるように、目標は組織を導くリーダーにとって強力なツールであり、経営者の目標設定の上手下手で会社の業績が大きく変わるものです。この数年の大企業によるさまざまな不正も、元をたどれば目標設定そのものが原因になっていることがよくあります。
例えば技術的に困難な開発や達成困難な収益目標を、経営陣が現場の能力を無視して一方的に押し付け、その結果、データ改ざんや不誠実な営業行為につながり、最終的には会社のブランド価値が大きく毀損するような場合です。
目標は経営者やリーダーの願望をそのまま設定すればよいような安易なものではなく、組織および構成員の能力と調和して初めて良い成果が生まれるものなのです。
さらに阪神タイガース躍進の理由として、チーム目標の設定以外にも、選手の守備位置・打順を固定化し、選手の役割を明確にしたことも大きな要因であると言われています。つまり、リーダーはチーム全体の目標だけを考えればよいというわけではなく、チーム目標を達成するために各メンバーが担うべき目標も適切に設定しなければ、大きな成果は生まれないのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉が担当しました。
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(2024年2月28日公開)
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