第224回 デザイン思考で商品・サービスを検討しよう|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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デザイン思考で商品・サービスを検討しよう

  • 商品・サービスを検討するときの考え方
  • デザイン思考とは
  • デザイン思考の事例

商品・サービスを検討するときの考え方

皆さん、こんにちは、経営相談室の待谷です。

皆さんは商品やサービスを検討する際、どのようにされていますか?
自社の持つ技術やノウハウなどの資源に着目して開発を行うプロダクト・アウト、ユーザーニーズに基づいて開発を行うマーケット・インという大きく2つの考え方があります。

どのように商品やサービスを検討されていますか?どのように商品やサービスを検討されていますか?

プロダクト・アウトの場合、市場のニーズよりも自社の経営資源を優先させて検討しますので、作ってみたけどニーズが無かったということも考えられます。
それに対して、マーケット・インの手法で検討するためにはニーズの把握が必要になります。
正確なニーズを把握しようとしたら、どうしても多額の費用と時間がかかってしまいます。

プロダクト・アウトとマーケット・インそれぞれを比較すると一長一短あるのですが、これらとは異なる検討方法があります。
それが、デザイン思考です。

デザイン思考とは

販路やプロモーションをどのようにしていくのかも併せて検討する必要があります

デザイン思考とは、ユーザーの観察→隠れたニーズの発見→解決策の検討→プロトタイプの作成→テストを行い、それをまた観察して…というサイクルを繰り返し、スパイラルアップで製品を開発する方法です。

市場ニーズの調査で集められる意見は、現状の延長線上のものだったり、あるいは他社製品にあって自社製品にない機能だったり、ユーザーがすでに認識している意見、顕在化されたニーズがほとんどで、イノベーティブな製品を開発するためのヒントを得にくいことが考えられます。

それに対し、デザイン思考はユーザーの行動にフォーカスを当てた開発手法です。
ユーザー自身が認識していない問題やニーズを発見し、それらを解決できる製品やサービスを開発できる可能性があります。
したがって、イノベーションのための方法論といった言われ方もします。

新規性や独自性が強い製品の場合、最初のうちは価値がうまく伝わらずに、なかなか受け入れられないということも十分考えられます。
従って、商品・サービスの良さが伝えるために、販路やプロモーションをどのようにしていくのかも併せて検討する必要があります。

デザイン思考の事例

デザイン思考を用いた製品開発の例として、任天堂のWiiが挙げられます。
自社従業員の家庭では、ゲーム機があると子どもと親のコミュニケーションの時間が短いということが観察によって明らかになりました。

そのため家族で楽しめて、関係性を良くするゲームとして、家族みんなで使えるようなコントローラー、リビングに置いておいても邪魔にならない大きさの本体など、1,000回以上の試作をしながら開発されたそうです。

例として挙げたのは大企業ですが、デザイン思考の実践に関して企業規模は関係ありません。
むしろ、大きな費用と時間がかかる市場調査を実行することが難しい中小企業にとって、デザイン思考は導入しやすい手法と言えるかもしれません。

ユーザーが認識していない問題やニーズを発見できる可能性があるデザイン思考をうまく使えば、商品・サービスの新規開発や改善において強力な武器になる可能性があります。
一度、商品・サービスを検討する際に、デザイン思考の考え方を試してみてはいかがでしょうか。

経営相談室 スタッフコンサルタント 待谷 が担当しました。

(2019年2月20日公開)

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