早いもので今年も残すところあと1か月となりました。今年は皆さまにとってどのような年でしたでしょうか。嬉しいこと、残念なことなど様々なことがあったと思いますが、終わり良ければ総て良しとも言いますし、残りの1か月を大事にしたいですね。
後継者は大切な存在です!!
さて、今回は事業承継、なかでも後継者について書きたいと思います。経営相談を受けていますと会社を継ぐ側である後継者の皆さまが、深い悩みや不安を抱えていることがよくわかります。最も一般的な承継形態である親族内承継であっても、「親子間で上手にコミュニケーションが取れない」、「従業員から信頼が得られない」など、後継者ならではの壁にぶつかり、悩み苦しんでいる方が多くおられます。
ただ、後継者がいることは会社にとってどのような意義があるのでしょうか。例えば、金融機関や取引先の立場からみた場合、代表者が高齢で後継者が不在となると、長期の融資はハードルが上がりますし、取引先も今後の取引に不安を持つと思われます。しかし、後継者の存在が金融機関や取引先の不安を軽減することもありますし、2021年版中小企業白書をみますと経営者の年齢が比較的若い方が増収・増益企業の割合が多くなるというデータも出ています(※1)。日本を代表する企業であるファーストリテイリングや星野リゾートも後継者の頑張りによって、現在のような立派な企業に成長したのです。ぜひ、後継者であることに誇りを持ち、前に進んでほしいと思います。
経営相談を受けていると「後継者として何をやっておくべきか」という質問を頻繫に受けます。経営戦略、財務知識など、経営者として習得すべきことはたくさんありますが、まずは自社をよく知ることをお勧めしています。ホームページの沿革に記載されているような表面的なことだけではなく、創業者はどのような思いをもって起業したのか、過去の経営者はどのような人でどのような考えを持っていたのか、困難な状況があったのならどのように乗り越えてきたのかなど、可能であれば奥深い部分まで理解することが大切です。それらに後継者としても大切にすべき会社の“軸”があると思います。過去を知らずに現在と未来だけを見て発言しても、周りの人から受け入れられるのは難しいのではないでしょうか。また、“自社自慢”も見つけるようにしてください。自社では当たり前と思われていることでも、他社にはない良さ、技術、文化などに気づいて、誇りに思い、磨いていくことも大変重要なことです。
また、後継者には、従業員からの信頼を早く勝ち取りたいという悩みがあります。ただ、入社して日が浅い場合は本業で実績をあげて信頼を勝ち取ることはなかなか難しいようです。そのような場合は既存の従業員が苦手で、後継者ができそうなことにチャレンジしてはいかがでしょうか。例えば、ITやDX、ホームページの改善などの分野です。特に年配の従業員が苦手にしているが、自社にとって重要でだれかがやらねばならない重要課題にチャレンジすることは後継者が活躍できるチャンスです。また、ITやDX、ホームページの改善などは、自社をきっちりと理解していないと効果的な取り組みができないため、後継者が自社を理解することにも役立ちます。
後継者として自分と同じように悩んだり、頑張ったりしている人が他社にもいるはずです。愚痴の言い合いや、飲み会に明け暮れることには賛成しませんが、志を同じくする後継者仲間と交流を持ち、刺激を受けることは良いことだと思います。最近では、後継者に特化したオンラインのコミュニティもありますし、後継者を対象とした経営塾もあります。大阪産業創造館でも「なにわあきんど塾」という、主に若手経営者・後継者を対象とした育成プログラムがあります。「なにわあきんど塾」は通年のプログラムとなっており、例年4月から開講するスケジュールとなっておりますので、興味がある方は「なにわあきんど塾」のホームページをご参照ください。
そのほか、後継予定者が新規事業のビジネスアイデアを競い合う「アトツギ甲子園」というピッチイベントも開催されています(※2)。
ぜひ、広い視野をもってさまざまな後継者より刺激をもらい、ご自身と会社を成長させてほしいと願っています。
経営について悩まれた際にはお気軽に経営相談室までご相談くださいね。
経営相談室 スタッフコンサルタント 太田が担当しました。
(※1)2021年版中小企業白書 第2部第3章第1節
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_1.html
(※2)アトツギ甲子園
https://atotsugi-koshien.go.jp/
▼太田 信之(おおた のぶゆき)へのご相談(面談)
(2024年11月27日公開)
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