差別化は戦略的かつ具体的に。商品・サービスの相違点も大事|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)|第260回 経営相談室のなかのひと

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差別化は戦略的かつ具体的に。商品・サービスの相違点も大事

  • 競合との差別化は必須です
  • 差別化の例
  • 適切な市場規模

競合との差別化は必須です

皆さん、こんにちは、経営相談室の待谷です。

商品・サービスが市場にあふれている現在において、競合との差別化は必須です。

競合との差別化こそがめざすべき姿です競合との差別化こそがめざすべき姿です

競合との差がないコモディティ商品・サービスだと、どうしても価格勝負、広告宣伝勝負になってしまいます。

価格勝負、広告宣伝勝負になってしまうと、いずれも資本の大きな企業が有利になりますので、中小企業では不利です。
また、価格を下げる、コストが増えるということですから、収益性が低下してしまいます。
そうならないためにも、競合との差別化が必要です。

「差別化といっても独自の技術なんかもっていない」そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
確かに独自技術がある方が差別化をしやすいですが、独自技術がなくても競合との差別化は可能です。

差別化の例

差別化の具体例は以下の通りです。

【1】エリアを絞る
特定のエリアに絞り込み、該当エリアのニーズに特化します。
つまり、地域で一番をめざすということになります。

また、顧客のところに訪問するタイプの事業であれば、顧客の事業所との距離が近くなるため、効率的に訪問することも可能になります。

【2】ターゲットを絞る
鍼灸院専門のweb制作会社、高齢者専門の音楽教室といったように特定のターゲットに絞り込み、該当ターゲットのニーズに特化します。

競合と比較して該当するターゲットに対するスキルやノウハウを得ることで付加価値が高まり、競争優位性を得ることになります。
この場合は商圏は拡大します。

【3】商品・サービスを絞る
商品の品揃えで大きな店舗には勝てませんが、スポーツタイプの自動車専門の中古車販売店といったように、一部の商品に特化することで、特定カテゴリーに関してはどこにも負けない品揃えにすることも可能になります。
これも商圏は拡大します。

顧客が商品やサービスを選ぶ基準は、競合との共通点ではなく、相違点です。
エリア、ターゲット、商品・サービスを絞り込むことで、顧客から見て違いが明確になります。

また、特定顧客に対する商品・サービスの開発・販売に関するノウハウが蓄積されやすくなり、競合よりも高い付加価値を提供できるようになります。
その結果、対象顧客の選択肢の1番目になることをめざします。

また、製造業・小売業・飲食店のように仕入れが発生する事業者も、絞り込みを行うことで仕入れの効率化や在庫削減というメリットもあります。

適切な市場規模

絞ることで市場が小さくなるため、売上も減ってしまうのではないかとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、競合がたくさんいるために競争が激しく、対象顧客の中で1番になるのが難しい市場であれば、受注のチャンスは元々高くなかったのではないでしょうか。

また、規模の大きな市場には、中小企業では到底歯が立たない、規模の大きな企業が参入する可能性があります。
しかし、企業規模が大きくなるほど、小さな市場には効率が悪いために積極的に参入しなくなります。

言い換えると、大きな市場は勝てない相手と勝負をする可能性がありますが、小さな市場であれば不利な競争を回避できる可能性が高まります。

売上高が3億円や5億円ぐらいの企業には何百億円といった大きな市場は不要なはずです。
市場規模の最大値が30億円の場合、10%の市場シェアを獲得した場合でも売上高は3億円です。
あえて競合の多い大きな市場を狙わなくても、その市場でシェアを伸ばす方が良いはずです。

つまり、競合と差別化をして、身の丈に合った大きさの市場で1番になるというのが、中小企業にとってめざすべき戦略ではないでしょうか。

経営相談室 スタッフコンサルタント 待谷 が担当しました。

(2019年11月6日公開)

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