こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。
ちょっと前に芸能人や有名人の経歴詐称がマスコミの話題に上っていましたね。
これを中小企業に置き換えると、経歴を偽って入社した社員を懲戒解雇できるのか、ということが気にかかるのではないでしょうか。
経歴詐称は簡単にいえば、採用時の履歴書や面接で学歴・職歴・犯罪歴などを偽ったり、真実を隠すことです。
たとえば学歴詐称では実際よりも高く申告したり、低く申告することが考えられるでしょう。このどちらも懲戒解雇事由に該当する可能性があります。
職歴詐称は業務の内容によってはそもそも採用するかどうかの判断や、採用後の指導監督に大きく影響する、重要な経歴です。詳しくは後段でお伝えしますが、実際にはない職歴をあるように偽ったり、実際の職歴を偽ると懲戒解雇事由に該当する場合があります。
犯罪歴の詐称も重大な経歴の詐称として、懲戒解雇事由にあたります。ただし裁判例では「罰」とは確定した有罪判決を指し、起訴され裁判の最中である事件は「罰」に含まれないとされています。
詐称があってもそれが採用の可否や入社後の処遇に影響を与えない場合や、またそもそも学歴不問としている場合には、懲戒解雇事由にあたりません。解雇そのものが「社会的相当性を欠き無効」とされることもあります。
つまり経歴詐称があったからといって、直ちに懲戒解雇できるわけではありません。
では経歴詐称による懲戒解雇が有効かどうかのポイントは、何なのでしょうか。
それは、経歴詐称の重要度です。
会社が採用時(労働契約の締結前)にその社員の、真実の経歴を知っていたなら採用しなかった(その労働契約を締結しなかった)、と考えられるほど重要なものであるかどうか?ということです。
たとえ話で考えてみましょう。とある建築事務所です。ここでの今回の重要な採用条件は一級建築士の資格や経歴です。それなのに真実は無資格であるにも関わらず、「一級建築士の資格を持っています」と経歴詐称で入社した場合、懲戒解雇が認められます。
けれど飲食業の会社において、一級建築士の資格や経歴がないのにあると偽って入社した。この場合は業務とほとんど関係ないでしょうから、懲戒解雇は難しいでしょう。
採用する側としては採否にかかわる資格や経歴の確認を、採用面接で確実に確認できるよう事前に準備しておきたいですね!
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(2016年6月1日公開)
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