第319回 コロナ禍を乗り切るための事業展開。多角化による事例。|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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コロナ禍を乗り切るための事業展開。多角化による事例。

  • 環境変化に合わせた行動
  • HISの多角化
  • 多角化のポイント

境変化に合わせた行動

みなさん、こんにちは。
経営相談室の谷口です。

このブログを書いている時点で新型コロナウイルス感染症の感染者数が急増しており、多くの事業者の方が影響を受けていると思います。
ワクチンの投与が海外で始まっていますが、終息する見通しが立っていないのが現状です。

難局を乗り越えた先に明るい未来があります!

難局を乗り越えた先に明るい未来があります!

国としても、雇用調整助成金や無担保無利子の融資制度など対策を行っていますが、十分だと感じている方は少ないかと思います。

このような環境下で企業が生き残っていくには、環境変化に合わせて自社の行動を変化させる必要があります。

今回は、新型コロナウイルス感染症に立ち向かい経営を立て直している企業の事例をご紹介します。

HISの多角化

HISは皆さまご存じの通り旅行会社で、その売り上げの9割は旅行業に依存していました。

コロナ禍前からエネルギー事業や金融事業など多角化を進めていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による旅行市場の縮小がきっかけで、多角化の動きは加速しています。

そして、新たな収益の柱を育てるために、下記の新規事業を立ち上げています。

□ライフ&エンディングプロジェクト
・リモートお墓参りサポート
・お墓掃除代行
・散骨、海洋葬
・就活ツアー
・オーダーメイドの思い出旅

□飲食プロジェクト
後継者が見つからないため閉店せざるを得ない名店の味を、HISが継承するプロジェクトで、現在そば店を複数店舗運営しています。

経営リソースをひとつの事業に集中させることは、資源配分の観点では効率的ですが、同時にその市場の規模が縮小した場合のことを考えると大きなリスク要因にもなります。

そのため、HISの多角化という戦略は自然な流れだと思います。

多角化のポイント

多角化の方法として、HISを例にすると「ライフ&エンディングプロジェクト」のように一から新規事業を立ち上げるケースと「飲食プロジェクト」のように既存の成功モデルをM&Aによって取り込むケースなどがあります。

M&Aというと大企業が行っているイメージがあるかもしれませんが、近年は中小企業でも事業承継の手段としてM&Aを利用するケースが増えており、国としても中小企業の再編を促すため、2021年度税制改正大綱に買収企業の税優遇を盛り込む予定です。

しかし、M&A先はすぐには見つかりませんので、普段から金融機関、税理士、M&A業者などに声をかけておくことが重要です。

多角化のポイントは、①今あるリソースや強みを活かせるか、②既存事業と新規事業でシナジー効果はあるか、③リスクは分散できるか、といった点が挙げられ、HISはその点に対して、うまく対応していると思います。

多角化を行うのは、もちろんリスクは伴いますが、今この環境下で何もしないという選択肢はさらにリスクを抱える可能性があります。

変革に向けた行動の必要性を感じながらも、どのように進めればよいか悩んでいる方がいらっしゃいましたら、まずは経営相談室のご相談ください。

経営相談室 スタッフコンサルタント 谷口 が担当しました。

谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 谷口 睦(たにぐち むつみ)のプロフィール

(2021年1月20日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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