第330回 新年度!人事・労務の制度変更を確認しよう|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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新年度!人事・労務の制度変更を確認しよう

  • 中小企業も『同一労働同一賃金』
  • 『70歳までの就業機会確保』が努力義務に
  • 人事・労務制度はこまめに見直しを

中小企業も『同一労働同一賃金』

みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。

新型コロナウイルス感染症の影響がまだまだ気になるところですが、暖かさが心地よい季節となりました。昨年は緊急事態宣言に外出自粛と本当に先行きが不透明な春でしたが、今年は少し落ち着いて、桜の開花を感じる程度の余裕はあるような気がしています。本当ならお花見宴会、といきたいところですが、宴会は自粛して、一人花見ランニングを楽しむ日々です。

改正が多い人事・労務こそ専門家相談!

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さて、今回は新年度ということもあり、この4月から変わった人事・労務関係の話を取り上げていきたいと思います。

以前、当ブログでも取り上げた「同一労働同一賃金」。これに関わる法律「パートタイム・有期雇用労働法」が、2021年4月1日から中小企業にも適用となりました。

簡単に言えば、「正社員だから」「アルバイトだから」という雇用形態だけを理由に、待遇に差をつけてはいけない、というものです。ここでいう待遇は給与に限らず、賞与や手当、退職金、特別休暇の付与といった制度に至るまで、ありとあらゆるものに及びます。

事業主がやらなければいけない対応としては、
①不合理な待遇差を設けないこと
②待遇差について、パートタイム労働者や有期雇用労働者から説明を求められたときに、理由を説明できること
の2つとなります。

むずかしいのは、一律に「これは合理的」といえるわけではないところ。企業によって就業の実態は異なりますし、一見同じように見える手当や制度も、その背景は違うかもしれません。判例もまだ少なく、前例から判断しかねるケースも多いと思われます。「自分ではきちんと理由があると思っているけれど、これって合理的なんだろうか??」と疑問に感じたら、専門家に相談するなど、客観的な意見を聞いておくのが一つの対処法になるかもしれません。

下記リーフレットにも掲載されているとおり、管轄の労働局にお問い合わせしてみられるのがおすすめです。

<厚生労働省 パートタイム・有期雇用労働法施行のリーフレット>
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000759148.pdf

『70歳までの就業機会確保』が努力義務に

2021年4月より、高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となりました。「え、70歳まで雇用しないとダメなの?」と思った方もおられるかもしれませんが、現状はあくまで「努力義務」です。

まず、これまでの高年齢者雇用はどうなっていたのか、というと
・定年を設ける場合は、「60歳未満」に設定することは禁止
・定年を65歳未満に定めている場合は、下記①~③いずれかの措置が必要
 ①65歳までの定年引上げ
 ②定年制の廃止
 ③65歳までの継続雇用制度を導入
となっていました。

ざっくり言えば「65歳までは、形はどうあれ企業で雇用を継続するのは義務」でした。今回は、これに上乗せとして「65歳を超えても働きたい、っていう人がいるんだったら、働き続けられるよう努力してね」というのが加わりました。

私が社会人になったころは、「65歳までの就業機会確保が努力義務」だったのですが、今や65歳まで働くのは当たり前、70歳どころか「生涯現役」を打ち出される世の中になりました。

具体的には、以下の5つのうち、いずれかの措置を取るよう努めることが必要です。
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

かつての65歳までの就業機会確保との違いとして特徴的なのは、「雇用」という形だけではなく、業務委託や社会貢献事業などの措置も含まれることです。雇用と比べると、業務委託は緩やかな関係性。副業を解禁する企業も増えている近年の働き方・社会情勢も踏まえると、「雇用以外の選択肢」もあってしかるべきなのかもしれません。制度の詳細については、厚生労働省のリーフレット等をご参照ください。

<厚生労働省 改正高年齢者雇用安定法施行のリーフレット>
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694688.pdf

人事・労務制度はこまめに見直しを

事業を運営する上では、事業主に様々な義務が課されています。特に、人事・労務関連は法改正が多く、毎年といっていいほど新たな対応が求められます。

「知らなかった」では済まされないのが労務管理です。人事・労務制度をこまめに見直していただき、事業主も従業員も、安心・快適に働ける環境を作っていただきたいと思います。

私も「70歳まで働ける体」を維持すべく、生活を見直そうと思います。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高松 が担当しました。

高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィール

(2021年4月7日公開)

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