『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの完全新作映画が20年ぶりに公開され、ガンダムシリーズの興行収入の記録を更新しました。機動戦士ガンダムの中でも海外展開に初めて取り組んだシリーズで、上海に実物大のモビルスーツが置かれているのも象徴的です。
ブルー・オーシャン戦略を検討しよう
さて『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が放送されていた同時期に、ブルー・オーシャン戦略(著:W・チャン・キムとレネ・モボルニュ)が発表されました(ハーバードビジネスレビューに論文が掲載されたのが2004年、日本語版が刊行されたのは2005年です)。この20年の間に、ブルー・オーシャンという言葉もビジネスシーンでもよく見聞きするようになりました。
ブルー・オーシャン戦略とは、競争の激しい「レッド・オーシャン」から抜けだし、低コストで高付加価値を両立しながら競争のない理想的な市場(=ブルー・オーシャン)をめざす経営戦略です。改めてどんな戦略か基本と成功事例を含めて確認してみましょう。
ブルー・オーシャン戦略の特徴は、“新しい市場を創造すること”、“低コストと同時に差別化を実現すること”です。コストを下げるため、業界で常識となっている競争の要素を省き、これまでと違った価値を取り入れることが戦略の土台になっています。
ブルー・オーシャン戦略の成功事例として有名なのが、シルク・ドゥ・ソレイユです。シルク・ドゥ・ソレイユは、ライオンやピエロといった他のサーカスがやっている定番の演目を省き、演劇の要素を取り入れ、これまでのサーカスの客とはまったく異なる顧客層の獲得に成功しました。
日本では、任天堂が映像技術や処理速度といった高性能を追求せず、直感的に使えるコントローラーで、子どもから大人が楽しめる家庭用ゲーム機「Wii」を開発し、新しい市場を開拓することに成功しました。
市場の隙間を狙い、他社が参入していない市場領域を見つけ、そこで優位なシェアを獲得することをめざすニッチ戦略というものがあり、ブルー・オーシャン戦略と混同されます。ニッチ戦略は、同じ市場の中での特定のセグメンテーションをめざす戦略ですが、ブルー・オーシャン戦略は、競争を避け、脱セグメンテーションをめざしているので、区別することができます。
競争環境においては、知らず知らずのうちに他社と同じマーケティング戦略をとることや、他社に先行することに注力し、自社の事業の特徴や提供価値が伝わりにくくなっていることも見受けられます。
ブルー・オーシャン戦略は、これまでの考え方と大きく異なる取り組みで、慣れが必要です。ただし、“顧客は誰か?”や“どんな価値を提供するか?”はシンプルではありますが、重要なポイントです。視野を広げて、自社の顧客や競争の前提を改めて検討してみる点は参考になります。
経営相談室 スタッフコンサルタント 大西が担当しました。
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(2024年3月27日公開)
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