よくある創業相談のひとつに「個人事業と法人(株式会社など)の場合、何が違うのか?」というものがあります。
「法人の方が信用が高い」というような一般論がありますが、資本金1円でも株式会社を設立できるため、「法人だから信用が高い」とは簡単には言えません。
法人設立しなければならないのは、取引先が「法人でなければ取引できない」と言っているような場合です。
このような場合でなければ、個人事業でも法人でもどちらでもよい、ということになりますので、法人化するメリット・デメリットはどこにあるのかが次のポイントになります。
まず、税務面ですが、法人化するとメリットがでるのかどうかは状況によるため、一概には言えません。
個人事業は売上から費用を引いた利益が事業主の事業所得になり、これに税金がかかってきます。
一方で法人の場合、経営者は会社から役員報酬をもらうため、会社の利益にかかる法人税と、経営者個人の役員報酬にかかる所得税が発生することになります。
また、個人と法人では税率も異なります。法人化によりトータルで節税できるのであれば、法人化する価値が出てきます。
税務申告という点では、個人事業の場合、税務申告はそれほど難しいものではないため、税務署の記帳指導などを受ければ自分で申告書を作成することはできます。
一方、法人の税務申告は申告書の作成が難しく、税理士にお願いすることがほとんどです。つまり、法人の場合は、税理士への費用を考えておいた方がよい、ということになります。
いずれにせよ、経営相談室で受ける小規模な創業相談においては、まずは個人事業で事業を立ち上げ、様子を見ながら法人化を検討すればよい、ということで、形にこだわらずに事業をスタートするようアドバイスすることが多いのが実態です。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉仁史が担当しました。
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(2016年3月23日公開)
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