みなさん こんにちは。経営相談室の森です。
全国高校野球選手権大会 夏の甲子園が史上初めて中止決定されました。甲子園を目標に日々練習に励んできた高校三年生の選手の皆さん。残念、悔しい、悲しい・・・。皆さんのお気持ちは察して余りあります。
目標は、必ず達成できる、とは言い切れない。
しかし、実際に甲子園の土を踏めるのは地区予選を勝ち抜いた一部の高校生。大多数の選手はその目標を達成できずに高校野球を終えます。
同様に、企業経営においても、売上目標などの事業計画を必ず達成できるというわけではありません。計画未達というケースがたくさんあります。売上が上がらなかった、経費を使いすぎた・・・。
経費は「これ以上はお金を使わない」など自社でコントロール可能ですが、売上計画が狂うことは今回のコロナ禍に限りません。手ごわいライバル社も当然いるでしょうから、自社の要望通りならないことも頻繁に起こりえます。
では、急激な経営環境変化に対して、備えるべきことは何か。やはり適切な現金の手持ち残高が重要になります。
しかし、一口で現金といっても、自社が自由に使えるものと使えないものがあります。
自社で自由に使える現金は、その名の通りフリーキャッシュフローといいます。
具体的には、企業の儲けの蓄積=内部留保と株主に出資頂いた現金です。できれば、売上の3ヵ月分は欲しいところです。なかなか、思い通りには事は運びませんが、売上の3ヵ月分の現金があれば、環境変化による売上激減にもある程度の対応ができるでしょう。
自由にならない現金とは借入金のことです。
まず、返済及び利払い義務があるのはもちろんですが、使い道も金融機関は重視します。例えば、店舗改装や工場増設などで借入(設備資金借入)をした場合、金融機関は、「概ね3カ月以内に工事会社等への支払いをしてください」といった要求をします。もし3カ月以上支払われていなかった場合、融資額の残金を一括返済せよ、と言われる可能性があります。
金融機関はこの様な資金使途違反を最も嫌います。実際、融資した現金が、融資先企業経営者の親族の会社に流れていたというケースがたまにありますので、致し方無い事情もあるのですが。
実際のところ、今回のコロナ禍は別格としても、経営環境が急激に悪化した場合に備えて手持ち現金には余裕を持ちましょう。月商の3倍の手持ち資金に今回の持続化給付金等の利用を加えると、実行可能な「次の一手」を考えるゆとりができます。ゆとりがないときに焦って手を打っても、残念ながら失敗するリスクが高くなります。
このように言うのは簡単で、実際に経営をされている方は日々大変なことの連続と存じますが、ピンチの場面でも、一度立ち止まり深呼吸をしていただければと思います。
経営相談室 スタッフコンサルタント 森 が担当しました。
(2020年6月3日公開)
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