第102回 「協調性がない」社員を辞めさせたい|経営相談室のなかのひと|大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

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なかのひと
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「協調性がない」社員を辞めさせたい

  • 「協調性がない」とはどんな状態のことなのか
  • 「協調性がない」ことへの注意や指導が必要
  • 就業規則の「解雇事由」を適用するには

こんにちは。スタッフコンサルタントの高島です。

毎日暑いですね。こうも暑いとちょっとしたことでもイライラしがちです。

ただでさえそうなのに、普段から伝票作成や入力処理のミスをよくする。指摘すると、毎度あからさまな言い訳や開き直り。

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上司や同僚との言い争いが絶えない・・・そんな社員がいるとしたら。

協調性を持てないなら、いっそのこと辞めさせたい!」と思われるかもしれません。

「協調性がない」とはどんな状態のことなのか

結論からいいますと、「協調性がない」からといって、直ちに辞めさせる(解雇)ことはできません。

「協調性がなくて、職場になじまない」といっても、それを「協調性の欠如」と判断するには、慎重にならなくてはいけません。

なぜなら「協調性」に対する意識や感覚が、その職場によって違うからです。何をもって「協調性」とするのかが異なるのです。

たとえば「皆で足並みそろえて、言わなくてもわかるよね」というような「協調性」を重視する職場の場合、自己主張の強いタイプは

波風を立てる人間→協調性がない
と思われがちかもしれません。

けれど多様なアイデアや創造性を重んじる職場なら、それを「個性的」と肯定的にとられるかもしれません。

つまり「協調性がない」といっても、「会社の円滑な運営のために他の人と協力して、業務遂行を行うことが難しい」状態なのか、これを見極めなければならないのです。

「協調性がない」ことへの注意や指導が必要

「会社の円滑な運営のために他の人と協力して、業務遂行を行うことが難しい」とは、他の社員に迷惑をかけたり、周囲のモチベーションを下げたりと悪影響を及ぼし、会社の秩序を乱している状態のことです。

解雇が有効と認められるのは、このような場合です。

ただしその「協調性がない」とされる社員の発言や行動に対して注意や指導を行ったり、職場の状況が許すのであれば配置転換を行うなど、本人の勤務態度の改善を促す努力が必要です。

これらを行わずに辞めさせた場合、解雇権の濫用と判断される可能性もあります。

また、本人の日頃の問題のある言動が業務にどのような支障を与えたのか、あとで客観的に判断できるよう、記録に残しておくべきでしょう。

就業規則の「解雇事由」を適用するには

就業規則への「解雇事由」の記載は、法律で義務づけられています。
裁判例でも、就業規則に書かれていない理由による解雇は、無効とされる場合がほとんどです。

けれど就業規則の解雇事由にずばり「協調性の欠如」、と挙げていることはまれでしょう。
では度々の注意や指導を行っても改善されず、社内の業務運営に支障をきたすような、「協調性の欠如」であっても辞めさせることはできないのか?

こんな場合「協調性がない」態度は、上司や同僚とのトラブル、顧客からのクレームといった形で現れてくることでしょう。

ですから「協調性がない」ことによる解雇は、「業務能率が著しく不良」「上司の指示命令に従わない」「会社の名誉・信用を傷つけた」「その他やむを得ない事由」等の条項を適用することになります。

経営相談室 スタッフコンサルタント 高島あゆみが担当しました。

(2016年8月24日公開)

大阪産業創造館 経営相談室

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