鹿野[2008](*1)は、CRD協会が管理する中小企業信用リスク情報データベースを利用して、日本の中小企業の姿を具体的に描いています。
それによれば、我が国の中小企業について、中央値を基準としてその姿を捉えると従業員数6人、売上高1.25億円、資本金10百万円となります。
中央値という聞きなれない指標で見ていますが、中小企業は平均値では捉えられない性質を持つためです。また、この中には昔ながらの企業もあれば、生まれたばかりの企業も含まれています。
*1.鹿野 嘉昭[2008]『日本の中小企業: CRDデータにみる経営と財務の実像』東洋経済新報社
立志庵卒業生の売上は、平均約72百万円、中央値約18百万円、最頻値約5百万円。
もう少し身近に、立志庵卒業生の創業後の売上はどのようになっているでしょうか。アンケート結果によれば、平均的には約72百万円/社となります。
しかし、この数字は日ごろ支援している現場からすると実態とかけ離れています。別の見方をすると中央値は約18百万/社、最頻値は5百万円/社となります。
この数字ですと実態にもだいぶ近い感覚です。この結果は卒業生の売上分布はバラバラだということを示しています。
しかし、こうした売上の差をもって経営の善し悪しを判断することは早計です。なぜなら立志庵の入居者は「『規模の経済』が働きにくい分野に存立する」(*2)ことで、創業の志を成し遂げようと取り組んでいる場合があるためです。
*2.竹内英二[2006]「マイクロビジネスの今日的意義」『マイクロビジネス入門』中小企業リサーチセンター,14頁。
規模の経済が働かない、常識的にはイバラの道の経営です。
しかし、掲げた志を実現するために敢えて取り組む。そこに人間らしい知恵が生きる経営が生まれます。10数年前、売れ筋商品中心の品揃えが常識と言われていた時代にロングテールという考え方で常識を打ち破った企業が存在しました。これも知恵の経営の結果です。
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(2017年8月30日公開)
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