こんにちは。経営相談室(あきない・えーど)の田口です。
先日、何気にネットをみていたら、日本の企業で最も有利子負債(つまりは借入金)の多いのはトヨタ自動車であるという記事に出会いました。
借入すること自体は悪ではない。
「ほんとうか?」という疑問が出たので、同社の有価証券報告書を閲覧しました。
確かに2021.3期の有利子負債は25.6兆円で想像もできないくらいの額でした。
売上が27.1兆円ですから、これだけの情報ではたとえ世界のトヨタ自動車と言えども決して健全な企業とはいえません。
しかし、手元の現金とそれに類する4.2兆円など金融資産が18.3兆円もあり、会社の収益力(営業キャッシュフロー)の2.6兆円を見れば、銀行は安心して貸し出し、社債等の引き受け手を探すのに全く苦労しない内容です。
話は変わり、コロナ禍で資金繰りに窮する事業者さんが当経営相談室に金融相談にお越しになられることもありました。
驚いたことに創業来借入をしたことがないので、どのように資金を調達したらいいのかわからないという方が複数おられました。
確かに借入がないということは、一般的に優良企業、優良事業者と言われるでしょう。
しかし時は非常事態です。そうしたときに借入の経験がないことが、裏目に出ることもあるのです。
周りに相談できる人がいれば、適切なアドバイスをしてくれるでしょうが、そうしたサポーターがいないとどうしていいかわからなくなることはあり得ることです。
どうしたら資金を調達できるかとあたふたしかねないのです。借りた経験があればすぐに手を打てますが。
事業を行っていると、資金が不足する事態に直面することは珍しくありません。売上が上がってもすぐにお金が手元に入るわけではありません。
一方、材料や商品の仕入代、社員の給与、家賃、光熱費といったもろもろの経費は待ったなしに支払わねばならないことが一般的です。
この現金が入るときと出るときのタイミングのずれを解消するための資金を一般的に運転資金と言います。この不足する分を自前で賄えればいいですが、多くは銀行などからの借入に頼ることになるのです。
この借入は決して不純なものではなく、資金余剰(利益とはイコールではないケースが多いです)がでる事業をしている限り全く問題ありません。損をする商売はいけませんが。
設備投資するための借入もそうです。商売のチャンスを逃さないようにするために行う増産のためとか、コストを引き下げるためのものであるとかなど、その設備投資の目的が何なのか、その結果借入をどのように返していくことができるのかを明確にすることが大事です。
借入金は返さなければなりません。運転資金にしても設備投資資金にしても何のために必要な借入で、どのように返済するかを計画書で明確にすれば、貸す方の金融機関も安心して貸すことができるのです。トヨタ自動車もそうした計画書を間違いなくしたためているはずです。
借入のための計画も含め、誰にでも納得してもらえる事業計画書に基づいて経営していくことが経営者に求められる姿勢で、それによって資金だけでなく経営に関するあらゆることに支援者を集めることができるのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 田口 が担当しました。
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(2021年12月8日公開)
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