先日、実演販売や対面販売のプロの人たちに話を伺うことがありました。プロの販売人は、売上を効率的に上げるため、人間心理を巧みにとらえた独自のノウハウを持っており、話を伺うたびに感心させられます。
そして、自分が試食などをする際に、こういうプロの技術に完全にはまっていることを思い知らされるのです。
たとえばコーヒーの試飲をする際、販売人に「熱くてあぶないから、ここで飲んで、ごみを捨てていってください」と言われ、やけに熱いコーヒーを渡されることがあります。
販売人に言わせると、これは人だかりを作るための技術で、コーヒーも通常よりも熱くすることで飲むのに時間がかかるようにしているとのことです。そして、集まった人たちは足止めされている間に巧みな話術に引き込まれ、いつの間にか商品を買っている・・・。
どうです?思い当たることはありませんか?
「売るのが下手な販売人は、買わない人に一生懸命売ろうとする」と実演販売のプロは言います。
プロの販売人は、目の合わせ方、試食品の取り方、歩き方などから買いそうかどうかを見切り、買いそうにない人の相手はせずに、買いそうな人に集中的に接客を行います。
「ターゲット顧客」が明確だからできるわけで、こういう顧客の見極めは、客の前に立ち続け、現場で試行錯誤しながら身につけていくことになります。
創業をめざしていると、「ターゲット顧客を明確にしましょう」とよく言われます。
すべての人をターゲット顧客として事業展開することはできません。ターゲット顧客を明確にするということは、ターゲット以外は捨てるということに他なりません。
買いそうにない人たちまでターゲットを広げていくと、「売るのが下手な販売人」になりかねません。起業にはターゲットを絞り、それ以外は捨てるという割り切りが必要なのです。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 が担当しました。
▼泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィール
(2017年7月12日公開)
この記事に関連する大阪産業創造館のコンテンツ