みなさん、こんにちは。経営相談室の高松です。
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったもので、ようやく朝晩が過ごしやすくなってきました。コロナの影響でビジネス環境が様変わりした2020年も残りあと3か月ちょっと…。そこで、今回はコロナ対応として様々な支援策が出されていたものの中から、雇用関連の話を取り上げます。
支援策のご利用は計画的に。
有効求人倍率とは、公共職業安定所(ハローワーク)に提出される求人数と、公共職業安定所で求職活動中の求職者数との割合で算出されます。有効求人倍率が1の時は求人数=求職者数で、バランスが取れている状態。有効求人倍率が1倍を超えている状態は、求人数>求職者数で、いわゆる「売り手市場」です。
日本の有効求人倍率は、リーマンショックの影響があった2009年8月(0.42倍)を底に、2018年8月(1.63倍)まで右肩上がりで推移していました。その後も2019年12月まで高止まりが続いていましたが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で潮目は大きく変わりました。
2020年9月1日に厚生労働省から発表された最新の有効求人倍率(2020年7月)は1.08倍。「人手が足らない!とにかく働き手がいない!!」という状態から、たった7か月で「求職者と求人の数がほぼ同じ」という状況になったわけです。
有効求人倍率の中身をさらに細かく見てみると、有効求人数は2020年1月から急激な減少となっているのですが、同時期の求職者数はほぼ横ばい。2020年6月から緩やかな増加となっています。
ここで考えられるのは、これまで「人手が足りないから採用したい」と考えていた企業が、「やっぱり採用を見合わせよう」という姿勢に変わったということと、この調査時点までに失業した人は意外と?少ないということです。この結果の一因となっているのでは?と思われるのが、雇用調整助成金です。
雇用調整助成金は、制度としては以前から存在していました。今回のコロナ禍にあたり、より使いやすく、ということで、適用条件の緩和や提出書類の削減・簡素化、提出期日の延長、1日当たりの支給上限額引き上げなど様々な特例措置が期間限定でとられてきました。
その効果もあってか、大阪府が行った調査でも、様々な新型コロナウイルス感染症対応支援策の中で、活用した企業が多い施策となっています。
□大阪府 新型コロナウイルス感染症に関する府内企業の実態調査(P.29)
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1949/00107099/0831_1400_covid-19_influ.pdf
「使いにくい!」という声も多かった雇用調整助成金ですが、多くの企業が活用できた結果、失業者の急増を防いだ、ということのようです。
雇用調整助成金の特例措置は、2020年9月30日までの予定でしたが、雇用環境の急変を受けて2020年12月31日まで延長されることとなりました。
□厚生労働省 雇用調整助成金の特例期間延長
https://www.mhlw.go.jp/stf/enchou201231.html
また、大阪府の独自施策として、民間人材サービス会社と連携した雇用対策も発表されました。
□大阪府 コロナ禍における民間人材サービス会社と連携した緊急雇用対策事業について
http://www.pref.osaka.lg.jp/koyotaisaku/koyoushienkin/index.html
コロナ禍で、国や自治体から様々な支援策が打ち出されました。これらをうまく活用できて助かった、という事業者様も多いのではないでしょうか。
ただ、支援策はあくまでも「支援」。最終的には、どんな状況であろうと自走できる状況を事業者が自ら作っていかなければなりません。
雇用については、これらの支援策が活用できるうちに、自社の環境を見直し、自走できる体制を作っていかなければならないといえます。
「支援策がないからできない」のではなく、「使える施策があればラッキー」。支援策は「現状を打開するためのブースター」として活用する、という意識が重要です。雇用に限らず、不透明な状況が続く中でも、変化を捉えて着々と準備を進めていきましょう!
経営相談室 スタッフコンサルタント 高松 が担当しました。
▼高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 高松 留美(たかまつ るみ)のプロフィール
(2020年9月23日公開)
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