以前コンサルティングを行ったある機械設備メーカーの話ですが、その企業は小さい企業ながらも高い独自技術を有しており、自社ブランドの機械設備を大企業に収めていました。
しかし一方で、リーマンショック時に受けた財務的なダメージがまだ癒えておらず、また社長は80歳近くであり、息子さんが後継者として同社で仕事をしている状況でした。
財務的には厳しいながらも独自技術を後世に残すべく、技術屋の社長に財務に関するアドバイスをしましたが、社長はあまり理解している様子はありませんでした。
後継者の息子さんが会社の状況を理解しておく必要があると思い、再三にわたり息子さんも会議に同席させるよう社長に求めました。
しかし、最後まで社長は息子さんに話をすることはなく、私は息子さんと話ができないまま、コンサルティングは終了してしまいました。
別の相談案件ですが、高齢の父親が、長女(姉)と長男(弟)の二人に会社を譲るという相談がありました。相談には父親と姉がお越しになり、弟は不在でした。
姉から、「会社には色々と課題があり、父親がいなくなったら、経営するのは非常に不安」としきりに言うので、不思議に思っていたところ、長い間、弟とはほとんど話をしていないということでした。
家族だからといってきちんとコミュニケーションが取れているか、というとそうではなく、逆に家族だからこそうまく話せない、ということがよく起こります。
特に事業における課題や問題を、お互いに私情を交えずにコミュニケーションを行うことは、なかなかできないものです。当事者同士では話しにくいことも、コンサルタントのような第三者が間に入ることで、冷静に話が進むことがあります。
大阪産業創造館には「事業承継なんでも相談所」があり、幅広く相談を受け付けておりますので、家族内コミュニケーションの潤滑油としてもお気軽にご利用頂ければ幸甚です。
経営相談室 スタッフコンサルタント 泉 が担当しました。
▼泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィールはこちらからご覧いただけます。
→ 泉 仁史( イズミ ヒトシ )のプロフィール
(2018年10月31日公開)
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